形成外科・泌尿器科・性病科
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更新日:2025/10/07
公開日:2025/10/11

動物には繁殖のシーズンがありますが、人間の男性にも「繁殖期」は存在するのでしょうか。季節によって精液中の精子の状態や男性ホルモン(テストステロン)の値が変化し、妊娠しやすい時期があるのか気になる方も多いと思います。
「子作りに適した季節とは?」という疑問に対して、精液の質やテストステロン値の季節変動について医学研究のエビデンスを紹介し、子作りに最適な季節が存在するのか考えてみましょう。

まず、男性の精液中の精子の状態(量や運動率、形態など)が季節によって変わるのかを見てみましょう。実は精液の質には季節変動があることを示す研究がいくつも報告されています。多くの研究によれば、夏より冬の方が精子の状態が良好になる傾向があります。
例えば、ある報告では精子数(精液中の精子濃度)の値が夏に最低となり、冬から春にかけてピークを迎えたとされています。また別の研究では、暑い夏季には精子の濃度や総数が冬季に比べ約30%も低下することが確認されました。この研究では、夏の高温による精巣への悪影響が示唆されており、実際その地域(米国テキサス州)では前の夏に受胎された妊娠が少なく、翌年春の出生数が有意に減少していたことも報告されています。
つまり、猛暑の夏に精子の質が低下することで、春に生まれる赤ちゃんの数(=夏に受精した数)が減る可能性があるということです。さらに大規模なデータ解析からも、精液の季節変動が裏付けられています。イタリアで行われた5,000人以上の男性を対象とした6年間の大規模研究では、夏〜秋にかけて精子の総数が有意に低下し、冬に回復するパターンが示されました。
この研究では気温や日照時間との関連も分析されており、気温が高い日ほど精子数や精子の運動率・正常形態率が低下する傾向が認められています。実際、日照時間が長い季節ほど精子数が少なく(日照時間と精子数に負の相関)、逆に日照が短い冬季に精液パラメータが改善することが報告されています。これらの結果は、夏の高温や長い日照時間が男性の精巣機能にマイナスの影響を与える可能性を示唆しています。
参照元: journals.lww.com、 researchgate.net、 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

精子の運動率(泳ぐ力)や形態(奇形の少なさ)についても季節差が見られます。一般に精子の運動能力は春から冬にかけて良好になり、夏に低下する傾向が指摘されており、精子の正常形態率も冬に高く、春・夏に低いとの報告があります。
例えばある研究では、正常な形態の精子の割合が冬では平均9.2%だったのに対し、春と夏では7.0〜7.5%程度に低下していたと報告されています。このように、精子の数だけでなく質的な面(動きや形態)も冬に向上し、夏に悪化するというデータが蓄積されています。

ではなぜ季節によって精液の質が変わるのでしょうか?考えられる理由の一つは気温(外気温)の影響です。精巣は体温より数度低い温度で正常に働く臓器ですので、暑い環境では十分に精巣が冷却されず精子形成(造精機能)が一時的に低下すると考えられます。
夏に精子の質が低下するのは、高温によって精巣の温度調節がうまくいかなくなるためかもしれません。実際、夏の精液所見の悪化は世界各地の研究で共通して報告されており、特に猛暑の気候ではその傾向が顕著です。もう一つの要因は日照時間(昼の長さ)です。
冬に日照時間が短くなると夜間のメラトニン分泌が増え、それにより性腺刺激ホルモンが増加する可能性があります。動物では日照時間が生殖ホルモンの季節変動を引き起こすことが知られており、人間でも日照の変化が性ホルモン分泌や精子産生に影響する可能性が指摘されています。このように、夏の高温や長日条件と冬の低温や短日条件がそれぞれ男性の精液所見に影響を及ぼしていると考えられています。
総合すると、精液の質は「寒い季節に良く、暑い季節に悪くなる」傾向が高い信頼性のあるデータとして示されています。

次に、男性ホルモンであるテストステロン値の季節的な変化について見てみましょう。テストステロンは筋肉量や性欲、精子形成など男性の生殖機能に関与する重要なホルモンです。
このテストステロンも季節によって変動するかどうか、多くの研究者が調査してきました。その結果、研究によってやや結論が分かれていましたが、近年の大規模データ解析によって徐々に全体像が明らかになってきました。複数の大規模研究は、男性のテストステロン値は夏から秋にかけて高く、冬の終わり頃に低くなる傾向を示しています。
たとえばイスラエルで27,000人以上の男性を分析した最近の研究では、8月〜10月(夏の終わりから秋)にテストステロン値がピークとなり、そこから低下して3月(冬の終わり)に最低値に達する季節リズムが明確に認められました。実際、この研究では8〜10月の平均テストステロン濃度が約15.5 nmol/Lだったのに対し、翌年3月には約14.7 nmol/Lまで低下しており、その差は統計的にも有意でした。地中海性気候のイタリアで行われた別の研究(約7,500人の男性対象)でも夏にテストステロンが最高値を示す季節変動が確認されており、欧米の複数の研究でも概ね「夏高く・冬低い」という同様のパターンが報告されています。

図: 男性における総テストステロンおよびバイオ利用可能テストステロン(月別平均値)の季節変動:イスラエルの27,000人規模の研究データを元に作成されたもので、横軸に月(1〜12月)、縦軸にテストステロン濃度を示しています。濃い実線は全血中の総テストステロン値、点線は遊離テストステロン値の月平均を表しています。グラフから、夏(8〜9月頃)にテストステロン値が上昇し、冬の終わり(2〜3月頃)に低下していることが読み取れます
テストステロン値が夏に高くなる背景には、環境要因として太陽光(日照)の影響が考えられています。実は、紫外線(UV)を皮膚に浴びることで性ホルモン分泌が増加するという現象が以前から知られております。夏場に日差しを多く浴びることでビタミンD合成が促進され、それがテストステロン分泌を促進すると考えられています。
参照元: pmc.ncbi.nlm.nih.gov、 pmc.ncbi.nlm.nih.gov

ここまで、男性側の要因である精子とホルモンの季節変動について見てきました。では実際に「妊娠しやすい季節」は存在するのでしょうか?男性側のデータだけでなく、人間全体の妊孕性(妊娠する確率)や出生率にも季節性がみられるかを考察してみます。
世界的な統計を見ると、人間の出産数や受胎のタイミングには季節的な偏りがあることが知られています。例えばアメリカでは、一年のうちで6月から11月にかけて出生数が多く報告されており、逆に春先(4〜5月)や初冬(11〜1月)は出生数がやや少ない傾向があります。6月〜11月生まれが多いということは、逆算すると前の年の秋から冬(だいたい9月〜2月頃)に受胎したケースが多いことを意味します。
実際、「アメリカでは秋から冬が受胎のピークになる」という報告もあり、この傾向は日本を含む他の地域でも確認されています。身近な感覚としても、「夏生まれの人が多い」という話や、「年末年始に妊娠する人が多い」という噂を聞いたことがある方もいるかもしれませんが、統計的にも寒い時期に妊娠が成立しやすいことはある程度裏付けられているのです。一方、暑い地域や夏の厳しい年には、その時期の受胎率が下がる可能性が指摘されています。
前述のテキサスの研究では、猛暑の夏に受胎が減少した結果、9ヶ月後の春の出生率が明らかに低下していたと報告されました。このように高温環境では妊娠率が落ちることが示唆されており、夏季の精液の質低下と合致する所見です。実際、出生率の季節変動はその土地の気温や日照長の変化と相関することが指摘されています。
極端に暑い地域や寒い地域では一年にピークが2回現れるケースも報告されており、これは「夏の暑さが妊娠率を下げるため、少し涼しくなった秋にもう一つの受胎ピークが現れる」といった現象と考えられます。また、都市部より農村部の方が季節変動が大きいとのデータもあり、これはエアコンなどによる気温調節やライフスタイルの違いで環境要因の影響を受けやすいかどうかが関係しているのかもしれません。
まとめ
ここまでの科学的知見を踏まえると、子作り(妊娠を目指すタイミング)に最適な季節は「冬」と言えるかもしれません。冬から春先にかけては精液中の精子数・運動率・正常形態率が最も良好であり、夏場に比べて男性側の生殖コンディションが整っていると考えられるからです。また、男性ホルモン値も年明けの冬〜初春にかけてやや低下するものの、これは精子の質に比べれば妊娠率への影響は小さいと考えられます。
むしろ秋から冬にかけては男性の性欲や活動性も高まりやすい(テストステロンが夏〜秋に高い)一方で、精子の質が向上してくる時期が重なるため、総合的に冬季は受胎に有利な条件が揃うといえるでしょう。実際、統計的にも冬に仕込まれた赤ちゃん(秋〜冬の受胎)は生存率が高く、出生数が多い傾向があります。反対に真夏の酷暑期は精子にとって過酷な環境であり、避けられるなら避けた方が良い季節とも言えそうです。
もちろん、妊娠の成立には様々な要因が関与し、季節はその一部に過ぎません。現代社会では冷暖房の完備や生活様式の変化により、昔ほど季節による影響は顕著でなくなっている可能性もあります。しかし、信頼性の高い医学研究からは「人間の妊孕性にも季節による波がある」ことが示唆されています。
特に男性側の精子の状態は冬場に向上するデータが多数報告されています。以上のことから、子作りに挑むのであれば一般的には冬(〜早春)がベストシーズンと考えられます。ただし個人差も大きいため、「絶対に冬でなければ妊娠できない」ということでは決してありません。
パートナーとのタイミングや健康状態を整えつつ、参考程度に「季節」の要素も頭の片隅に置いていただければと思います。季節に負けず、ぜひベストなタイミングで妊活に取り組んでください。
筆者:元神 賢太
青山セレスクリニック/船橋中央クリニック院長/医療法人社団セレス理事長。
1999年慶応義塾大学医学部卒。
外科専門医(日本外科学会認定)。
美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。
美容外科医師会理事。
美容外科医・包茎治療・ペニス治療として20年以上のキャリアがある。リパス、リパスGの命名者であり、日本の第一人者。テストステロンブースターサプリ「TB-1」の開発者。
男性向けの性講座Youtube「元神チャンネル」は好評を博している。また、男性更年期障害(LOH症候群)の改善をライフワークとしている。
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