形成外科・泌尿器科・性病科
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更新日:2025/10/15
公開日:2025/10/15

ニンニクはスタミナ食材の代表格で、古くから精力増強に良いとされてきました。中高年の男性の中には、「ニンニクを食べると元気が出る」「夜のパワーがつく」といった伝承を耳にした方も多いでしょう。しかし、このような効果は科学的に証明されているのでしょうか?
本記事では、ニンニクが男性の性機能(性欲、勃起機能、精子の質、ホルモンなど)に与える影響について、最新の研究や医学論文をもとに解説します。信頼できるエビデンスに基づき、ニンニクの実際の効果や作用メカニズム、そして適切な摂取方法や注意点について詳しく述べます。

ニンニクの効能を理解するため、まず含有成分とその作用について整理します。ニンニクを刻んだり潰したりすると、アリシンと呼ばれる硫黄化合物が生成されます。アリシンは強力な抗酸化作用と抗菌作用を持ち、ニンニク特有の刺激臭の元でもあります。
さらにニンニクには、アリシンから生成するジアリルトリスルフィド (DATS) や ジアリルジスルフィド (DADS) などの有機硫黄化合物、熟成ニンニク中に多いS-アリルシステイン (SAC)、そして各種ビタミン・ミネラルが含まれています。これら成分が相互に作用し、以下のようなメカニズムで男性の体に影響を与えると考えられています。
ニンニク由来の硫黄化合物は、一酸化窒素 (NO) や硫化水素の生成を促し、血管拡張をもたらす可能性があります。実際、健康な成人に生のニンニク約2gを摂取させた試験では、摂取後2~4時間で血中のNO濃度が有意に上昇したとの報告があります。また、試験管内研究ではニンニク成分が赤血球中で硫化水素を発生させることが示されており、硫化水素は強力な血管拡張ガスとして勃起に関与すると考えられます。こうした血流改善効果により、陰茎への血液供給が増えて勃起機能を支える可能性があります。
ニンニクには抗酸化物質が豊富で、活性酸素を中和する作用があります。老化や生活習慣病による酸化ストレスは血管機能や精巣機能を損なう一因ですが、ニンニクの抗酸化作用はそれを緩和しうるとされています。
例えば、糖尿病モデルのラットでは、ニンニク成分のS-アリルシステインの投与によりフリーラジカルの発生が抑制され、勃起機能が改善したという報告があります。抗酸化作用に加え、ニンニクの有機硫黄化合物は炎症性物質の産生を抑制することも知られており、血管や組織の炎症ダメージを軽減する働きも期待できます。
動物実験の段階ですが、ニンニクは男性ホルモン分泌にも影響を与えることが示唆されています。代表的な研究として、ラットに高タンパク食とニンニク粉末(餌の0.8%)を28日間与えた試験では、ニンニク非投与群に比べて精巣中のテストステロン含有量が有意に増加し、逆にストレスホルモンであるコルチコステロンが低下しました。
さらに同研究では、ニンニクの主要成分のジアリルジスルフィドをラットに投与すると、脳下垂体からの黄体形成ホルモン (LH) 分泌が用量依存的に増加したと報告されています。LHは精巣にテストステロン産生を促すホルモンですので、ニンニクがLHを刺激することで間接的にテストステロンを増やす可能性があります。
以上のように、ニンニクには血行促進・抗酸化・内分泌調整といった多面的な作用があり、これらが男性の性機能にプラスに働くと期待されています。それでは、具体的な性機能ごとに現時点での科学的知見を見ていきましょう。
参照元: lpi.oregonstate.edu、 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

性欲(リビドー)は心理的要因やホルモンバランスに大きく左右されます。古来よりニンニクは「催淫効果がある食品」として扱われてきましたが、その科学的根拠は限定的です。人間の対象者で性欲の変化を直接調べた臨床研究は見当たらず、主に間接的な推察となります。
一つ考えられるのは、テストステロン値への影響です。テストステロンは男性の性欲を維持する鍵となるホルモンで、中高年では加齢と共に低下しがちです。前述のように、ニンニク摂取で動物のテストステロンが増えた例があり、抗酸化作用で精巣を保護することでホルモン産生環境を改善する可能性も指摘されています。実際、2018年の系統的レビュー(動物研究18件を解析)では、ニンニクが精子産生を促進しテストステロン値を上昇させたとの結果がまとめられています。
これらの知見から、少なくとも動物モデルではニンニクが性ホルモンにプラスに働き得ることが示唆され、間接的に性欲の高まりにつながる可能性があります。もう一つは、全身の活力や疲労感への影響です。ニンニクに含まれるアリチアミン(ビタミンB1とアリシンの誘導体)はエネルギー代謝を助け、疲労回復に寄与するとされています。
中高年男性で疲労や活力低下が性欲減退に繋がるケースでは、ニンニク摂取によるスタミナ向上が性欲の改善に寄与するかもしれません。実際、黒ニンニク(熟成ニンニク)のマウス実験で持久力向上や疲労軽減効果が確認された報告もあります。

勃起不全(ED)は血管・神経・ホルモンなど多因子が関与しますが、特に陰茎への血流不足は主要な原因です。ニンニクの血流改善効果はED改善に有用ではないかと期待されています。ニンニク成分が血管内皮のNO産生を高め、また硫化水素供与体として血管拡張に寄与することで、陰茎海綿体への血流が増加しうるためです。では具体的な研究結果を見てみましょう。
近年、勃起機能に対するニンニクの効果を検証した興味深い臨床試験があります。2024年に報告されたランダム化プラセボ対照試験では、PDE5阻害薬タダラフィル(シアリス)で十分な効果が得られなかったED患者を対象に、タダラフィル5mgの併用療法としてニンニク汁(5gを1日2回経口)を4週間投与したところ、プラセボ群に比べて国際勃起機能指数(IIEF)スコアの有意な改善が認められました。平均年齢37~39歳の男性群で、小規模(ニンニク群19名、対照群16名)のパイロット研究ではありますが、ニンニク追加投与によりED治療効果が向上したことを示す初めての人臨床エビデンスといえます。
著者らはニンニクが体内で硫化水素を発生し血管拡張を助けた可能性を指摘しており、今後さらに大規模な検証が望まれます。人を対象とした直接的な研究は少ないものの、動物実験からも有用性を裏付ける知見が得られています。前述の糖尿病ラットのモデルでは、熟成ニンニクの有効成分S-アリルシステインにより勃起機能が正常化したとの結果が報告されています。
これはS-アリルシステインが陰茎組織でeNOS(内皮型NO合成酵素)を活性化し、過剰な活性酸素の産生を抑制したためと考察されています。また、ニンニク含有の健康食品と勃起機能に関する興味深い報告として、日本で行われた試験では、熟成ニンニクエキス・高麗人参・シカ角など6種類の生薬成分を含む市販製剤を6か月間服用した60代男性群で、ED指標(IIEF-5)の改善が見られたというものがあります。この製剤単独の効果か複合効果かは判別できませんが、高齢男性においてニンニクを含むサプリメントが勃起機能をサポートした一例として注目されます。
以上を踏まえ、ニンニクが勃起機能に及ぼす効果は「血管機能の改善を通じた間接的なサポート」と位置付けられます。薬剤のように即効で強い勃起効果をもたらすわけではありませんが、日常的な摂取によって血管の健康を保ち、EDのリスク因子である高血圧や動脈硬化を緩和することで、結果的に勃起力維持に貢献する可能性があります。
参照元: pubmed.ncbi.nlm.nih.gov、 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

男性不妊の要因として精子数の減少や運動率の低下、奇形精子の増加など精子の質の問題があります。ニンニクがこの精子産生・成熟過程に与える影響についても、多くの研究者が関心を寄せています。動物実験からは、ニンニク摂取が精巣を保護し精子の質を改善することを示す報告が相次いでいます。
前述の2018年系統的レビュー(対象18研究)でも、ニンニクが精子数を増やし、運動率や精子形成を改善したとの知見がまとめられています。例えばラットに有毒物質を投与して人工的に精子障害を起こす実験では、ニンニクエキスの投与によって精巣組織の損傷が軽減し、精子数や運動率の回復が認められました。また、抗がん剤による精子数低下モデルにおいても、熟成ニンニク抽出物が精子減少やテストステロン低下を防いだとの報告があります。
これらは主に動物レベルでのエビデンスですが、ニンニクの抗酸化作用や血流改善が精巣内の精子形成環境を良好に保つことに寄与したと考えられています。一方、ヒトにおけるエビデンスは非常に限られています。男性不妊症患者を対象にニンニクサプリメントを投与し精液所見の変化を調べた臨床試験はほとんど見当たりません。
ただし、抗酸化サプリメント全般で見ると、ビタミンC・EやコエンザイムQ10などと共にニンニク成分を含む製品を摂取させたところ精子数が増加したという報告があるほか、生殖年齢男性100人に抗酸化剤ミックスを与えて精液所見を改善した研究があります(この中で直接ニンニク単独の効果を評価したものではありませんが、酸化ストレス対策の重要性を示唆する結果です)。総合的に見れば、ニンニクは精巣を酸化ダメージから守り、精子の数や運動能を向上させる潜在力を持つと考えられますが、その効果量や臨床有効性については今後の人研究で検証が必要です。実用的な観点では、 「精子の質を高めたいならニンニクを日々適量食べてみる価値はある」 というのが現時点での結論でしょう。
例えば一部の専門家は、精子数が少ない男性に対し「生のニンニク1~2片を毎日、2か月ほど継続して摂取すると良い」という助言をしています。これは科学的検証というより経験則に基づくアドバイスですが、ニンニクの安全性と潜在的効果を考えれば試してみるのも一案かもしれません。もちろん、効果には個人差があり、深刻な不妊症例では医療的介入が必要となりますが、日常の食習慣で精子の品質維持に取り組む一環としてニンニクを取り入れるのは理に適っています。

男性の性機能に直結するホルモンであるテストステロンに対するニンニクの影響についても触れておきましょう。繰り返しになりますが、有望なデータは主に動物実験から得られています。神戸女子大学と理化学研究所のグループによる古典的な研究(2001年)では、ニンニク補給によってラットの精巣内テストステロン値が上昇したことを示しました。
同時にストレスホルモン(コルチコステロン)の低下やタンパク同化指標の改善も報告されており、ニンニクが同化ホルモン環境を良好に整えることを示唆しています。メカニズムの一端は、ニンニク成分がLHの分泌を刺激する点にあると考えられています。ジアリルジスルフィドなど含硫化合物が視床下部-下垂体系に作用し、LH(黄体形成ホルモン)を増やすことで精巣からのテストステロン放出を高めるという仮説です。

ここまで見てきたように、ニンニクは男性の性機能を多方面からサポートしうるポテンシャルを持っています。ただし、その効果を得るためには適切な摂取量と方法、そして副作用への注意が重要です。この章では、日常生活でニンニクを取り入れる際のポイントをまとめます。
一般的に、安全かつ有効とされるニンニクの摂取量は1日あたり生で約4g(大きめの鱗片で1~2片)程度です。これはアメリカ家庭医協会の報告などでも「生ニンニク1片相当を毎日摂るのがよい」といった指標が示されています。過剰に大量摂取しても効果が劇的に高まるわけではなく、むしろ副作用リスクが増すため注意しましょう。
ニンニクの有効成分アリシンは熱に弱く、水にも溶けやすい性質があります。そのため、生で刻んだニンニクを食べるのが最も高濃度のアリシンを摂る方法です。ただし生食は刺激が強いため、調理の最後に生のすりおろしニンニクを加えるなど工夫すると良いでしょう。加熱する場合も長時間の高温調理は避け、軽く炒める程度なら香りを引き出しつつ一定の効果が期待できます。
ニンニクやタマネギなどネギ属の野菜は刺激が強く、食べ過ぎると胃痛や胸やけ、下痢など消化器症状を起こすことがあります。特に空腹時に生ニンニクを大量に食べるのは避けた方が賢明です。胃腸が弱い方やニンニクで胃もたれしやすい方は、加熱調理したニンニクや匂いと刺激のマイルドな黒ニンニク(熟成ニンニク)を利用すると良いでしょう。
黒ニンニクは生のニンニクを高温多湿下で熟成させたもので、甘みが増して食べやすく、胃への負担も軽減されます。熟成過程でアリシンはほぼ分解されますが、その代わりに生成するS-アリルシステイン(SAC)やポリフェノールが抗酸化作用を発揮します。
匂いが気になる場合や生ニンニクが苦手な場合、黒ニンニクやニンニクサプリメント(臭いを抑えたエキス剤など)を活用するのも一つの手です。
ニンニクは抗血小板作用を持ち、血液をサラサラにする効果があります。健康な範囲での摂取では心血管にはプラスですが、抗凝固薬(血液サラサラの薬)を服用中の方は出血傾向に注意が必要です。濃縮ニンニクサプリを大量に飲むような場合、ワルファリン等の薬剤の作用を強めてしまう可能性があるため、医師と相談してください。
また、手術前にも大量のニンニク摂取は控えることが推奨されています(出血リスクを高める恐れがあるため、少なくとも手術1~2週間前には高用量サプリの中止が勧められます)。その他、ニンニクは一部の人にアレルギー症状を起こすこともありますので、体質的に合わない場合は無理に摂取しないようにしましょう。
まとめ
ニンニクが中高年男性の性機能に与える影響について、現時点の科学的知見を総合すると次のように言えます。
結論として, ニンニクは中高年男性の性機能にとって頼もしい「補助的な味方」になり得ますが、エビデンスに基づきつつ節度を持って活用することが肝要です。最新の研究結果をウォッチしながら、無理のない範囲で日々の食卓にニンニクを上手に取り入れてみてはいかがでしょうか。科学的根拠に裏打ちされた適切な摂取により、ニンニクの恩恵を健康増進と精力維持に役立てていきましょう。
筆者:元神 賢太
青山セレスクリニック/船橋中央クリニック院長/医療法人社団セレス理事長。
1999年慶応義塾大学医学部卒。
外科専門医(日本外科学会認定)。
美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。
美容外科医師会理事。
美容外科医・包茎治療・ペニス治療として20年以上のキャリアがある。リパス、リパスGの命名者であり、日本の第一人者。テストステロンブースターサプリ「TB-1」の開発者。
男性向けの性講座Youtube「元神チャンネル」は好評を博している。また、男性更年期障害(LOH症候群)の改善をライフワークとしている。
ED・ED治療, 勃起不全, テストステロン, ニンニク, 性機能
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