形成外科・泌尿器科・性病科
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更新日:2025/09/27
公開日:2025/08/15
男性型脱毛症(AGA)のご相談でよく聞かれるのが「プロペシア®やザガーロ®を飲むと、ヒゲや体毛はどうなりますか?」という疑問です。DHT(ジヒドロテストステロン)は頭皮では毛包の縮小を促し脱毛を進める一方、顎ひげや体毛では成長を後押しするという“逆説”を持ちます。
本稿では、5α還元酵素阻害薬(フィナステリド/デュタステリド)がこの均衡にどう作用するかを、受容体と酵素の仕組み、海外の臨床研究の要点、そして臨床現場での所感(内服でヒゲがやや薄く感じ、中止で戻る)まで、整理して解説します。

DHT(ジヒドロテストステロン)は、テストステロンから変換される強力な男性ホルモンです。5α還元酵素(5αリダクターゼ)によってテストステロンから生成され、男性の第二次性徴の形成に重要な役割を果たします。DHTがなければ、遺伝的に男性であっても外見は女性に近くなるほどです。
思春期になると男性ホルモン(アンドロゲン)の分泌が高まり、これに伴って顔のヒゲや体の体毛(陰毛・胸毛など)の多くが、それまでのうぶ毛から太く濃い終毛へと発達します。このようにDHTを含むアンドロゲンは、男性のヒゲや体毛の成長を強力に促進するホルモンです。一方で、髪の毛(頭髪)に対する影響はヒゲ・体毛とは対照的です。
DHTは頭皮の毛包(特に前頭部や頭頂部)に作用すると、毛を細く弱くして抜けやすくさせることが知られています。男性型脱毛症(AGA)では、遺伝的にアンドロゲンに敏感な頭髪の毛包がDHTの作用で徐々にミニチュア化し、細く短い毛しか生えなくなります。この現象は、同じアンドロゲンが部位によって「毛を濃くする」場合と「毛を薄くする」場合があることから、「アンドロゲンのパラドックス(逆説)」とも呼ばれます。DHTの働きは毛の種類や部位によって正反対の効果を示し、私たちの毛の生え方を大きく左右しているのです。

なぜDHTは頭髪とヒゲ・体毛で逆の作用を示すのでしょうか? 鍵となるのは毛包の「アンドロゲン受容体」の存在量や反応性の違い、そして毛包が産生する局所因子の差だと考えられています。髪の毛の毛包の中でも、AGAになりやすい前頭部や頭頂部の毛包は、アンドロゲン受容体の発現量が高く、5α還元酵素も多いためDHTの影響を強く受けます。
DHTが結合すると、これらの毛包では成長シグナルが抑制され、毛母細胞の増殖が鈍り毛が細く短命になってしまいます。一方、ヒゲや胸毛などの毛包もアンドロゲン受容体を持ちDHTの影響を受けますが、これらの部位ではDHTの刺激が逆に毛の成長を促す方向に働きます。例えば、あご髭の毛包はDHTが十分に作用することで太いヒゲが伸びることが知られています。
実際、先天的に5α還元酵素が欠損しDHTがほとんど作られない男性は、思春期になってもヒゲや体毛がほとんど生えてこない例があります。このような部位差の原因としては、毛包の真皮乳頭細胞がDHT刺激に応じて分泌する物質の違いが考えられています。頭髪の毛包ではDHTによって成長抑制因子(例えばTGF-βなど)が生成され、毛の縮小を招くと考えられるのに対し、ヒゲの毛包では成長促進因子(例えばIGF-1など)が誘導される可能性があります。
つまり、同じDHT刺激でも、毛包の遺伝子プログラムや局所環境の違いにより、「毛を減らす指令」になるか「毛を増やす指令」になるかが変わるのです。この生物学的な逆説は完全には解明されていませんが、研究によって徐々に理解が進んでいます。たとえば、男性のヒゲ毛包は女性の産毛毛包に比べアンドロゲン受容体遺伝子の発現が4倍多いことや、男性ホルモンに反応して毛包サイズが拡大し、毛が太くなる現象が報告されています。
一方で、まつ毛や後頭部の毛はアンドロゲンの影響をほとんど受けず、一生太さが変わらない毛もあります。このようにDHTの作用は毛包の部位ごとの感受性と遺伝的プログラムによって決定されるため、頭髪とヒゲ・体毛で正反対の結果が生じるのです。

フィナステリド(商品名プロペシア®など)やデュタステリド(ザガーロ®など)は、5α還元酵素を阻害してDHT産生を抑える内服薬です。元々、前立腺肥大症の治療薬として開発されましたが、男性型脱毛症(AGA)の原因である頭皮のDHTを減らすことで脱毛を防ぐ効果があるため、世界中でAGA治療に広く用いられています。フィナステリドは主にII型5α還元酵素を阻害し、デュタステリドはI型・II型両方の5α還元酵素を阻害します。
この違いによりデュタステリドの方がDHT低下作用は強力で、臨床研究ではフィナステリドが血中や頭皮のDHTを約70%減少させるのに対し、デュタステリドは90%以上減少させると報告されています。フィナステリド/デュタステリドがAGAに有効な理由は、頭皮の毛包で過剰なDHTを減らすことで、前述した「毛包のミニチュア化」を食い止めるためです。服用を開始して数ヶ月程度で抜け毛の進行が抑制され、多くの場合1年ほどで軟毛化していた毛が太く長く成長するようになります(1年間のフィナステリド治療で約60〜70%の患者に毛量の改善がみられるとの報告があります)。
デュタステリドではそれ以上の改善率も示唆されています。両薬剤とも作用機序は「DHTの減少」で共通しており、したがって頭髪以外の部位の毛にも何らかの影響を及ぼす可能性があります。ただし、フィナステリドは5α還元酵素II型への選択性が高いため、皮膚(体毛が生える部位)に多いI型酵素には効果がやや弱く、結果として体毛・ヒゲへの影響は限定的とも考えられています。
一方デュタステリドはI型も阻害するため、理論上は体毛やヒゲのDHTもより強力に減少させると推測されます。しかし実臨床で両者に有意な差があるかは明確ではなく、以下で述べるように体毛・ヒゲに関するデータは限られています。
参照元: americanhairloss.org

DHTを阻害するフィナステリドやデュタステリドは、ヒゲや体毛の濃さに影響を与えるのでしょうか?この問いに答えるため、国内外でいくつかの臨床研究や観察報告がされています。総じて言えることは、フィナステリド等によるAGA治療で頭髪以外の毛が大きく変化するケースは少ないということです。
例えば、日本人のAGA患者37名を対象にしたパイロット研究では、半年以上のフィナステリド内服後に「頭髪以外の毛の変化」を自覚した人は一人もいませんでした。この研究では元々体毛が濃いグループの患者の方がAGA治療効果が高い傾向が示されましたが、それでも髭や体毛が薄くなったと感じた患者はいなかったのです。また、フィナステリド承認時の海外臨床試験データでも、体毛の増減に関する有意な変化は報告されておらず、具体的には体毛が減ったと回答した人は数百人中1人程度とごく稀でした。
これらのことから、フィナステリドの全身投与は体毛・ヒゲの成長に対して「最低限の影響しか与えない」と考えられます。一方で、ごく一部のケースではヒゲや体毛の変化が見られることもあります。臨床医の所感や海外の報告では、フィナステリド使用者の約3%でヒゲの密度低下(ヒゲがやや薄くなる)を経験したとのデータもあります。
また、「胸毛や背中の毛が減った」といった体毛の減少を自覚する患者もときおりいるようです。医学的にも理にかなっており、体毛の成長はDHTに依存するため、DHTが減少すれば体毛は生えにくくなるはずです。実際、フィナステリドを女性に応用して、多毛症(男性化による不要な体毛が増える症状)を治療した研究では、6か月で体毛のスコア(毛の濃さ評価)が平均で50%以上も改善しています。
この結果はDHTを抑制することでヒトの体毛は確かに減らせることを示しており、理論上男性でもDHT阻害薬によってヒゲや体毛が薄くなる効果は起こり得るといえます。ただし、男性の場合はホルモン環境が女性とは異なりテストステロン自体の分泌量も多いため、フィナステリド程度のDHT抑制では十分な効果が現れにくいのかもしれません。国際毛髪外科学会(ISHRS)の解説でも、「フィナステリドはヒゲ・胸毛などの密度を減らし得るが、その効果はほとんどの場合気づかれない程度である」とされています。
つまり、大多数の男性ではフィナステリド内服によるヒゲ・体毛の変化はわずかで、本人が意識しないレベルに留まるというのが現在の定説です。なお、デュタステリドに関しては、フィナステリドよりDHT抑制が強力なぶんヒゲ・体毛への影響もやや大きい可能性があります。デュタステリドを長期服用している男性から「体毛が減った」「ヒゲの伸びが遅くなった」といった声が報告されることもあります。
しかし、現時点でデュタステリドと体毛・ヒゲの関係を詳細に調べた研究論文は少なく、その効果の程度は明確ではありません。フィナステリド同様に個人差が大きく、一部の人では多少の減毛効果があり得るが、多くは顕著な変化を感じないと考えておくのが妥当でしょう。
参照元: pmc.ncbi.nlm.nih.gov,fertstert.org

実際にAGA治療の臨床現場でも、「フィナステリド(またはデュタステリド)を飲み始めてから、ヒゲの伸びが遅くなった気がする」「体毛が前より薄く柔らかくなった」と感じる患者さんが時折いらっしゃいます。これは前述の通りDHTが減少したことによる毛包への刺激低下が原因と考えられます。ヒゲや体毛の毛包はDHTによって太い毛を維持していますが、薬でそのDHTが減ると、新しい毛は少し細く生えてくる可能性があります。
毛髪には「成長期」「退行期」「休止期」という周期があるため、変化は徐々に現れますが、アンドロゲン(DHT)が少ない環境下では各サイクルで作られる毛が以前より細く短くなることが考えられます。実際、男性ホルモン値が高いほど毛包が大きくなり太毛を生やす傾向があり、逆にホルモンが減れば毛包は小さくなる方向に向かいます。フィナステリドやデュタステリド内服中はこのような作用でヒゲ・体毛が「おとなしくなる」ことがあり得るのです。
では、その薬を中断すると髭や体毛はどうなるか? 結論から言えば、再びDHTが正常なレベルに戻るため、髭・体毛の毛包も元の状態に戻り、以前と同じ太さ・濃さの毛が生えてくると考えられます。薬の効果で一時的に細くなっていた毛も、次の成長サイクル以降で再び太さを取り戻していきます。
臨床的にも、「フィナステリドの服用をやめたらヒゲの濃さが元に戻った」「休薬したら腕や脚の体毛がまた目立つようになった」という声が聞かれます。これはちょうど、AGA治療でせっかく取り戻した髪が薬の中止で再び抜けてしまう現象と表裏一体です。DHTによる毛包刺激という根本メカニズムは全身どこの毛でも同じため、抑えていたDHTが戻れば抑毛効果も消えるのです。
場合によっては、中断後に「リバウンド」のように一時的に体毛が濃く感じることもあるかもしれません。しかしそれは薬で抑えられていた分が正常に戻っただけで、基本的には元の本人の毛深さのパターンに回帰すると考えてよいでしょう。

フィナステリドやデュタステリドは、AGA治療薬として長期にわたり世界中で使用されてきた実績があり、安全性は比較的高いとされています。ただし医薬品である以上、留意すべき副作用も存在します。特に知られている主な副作用は以下の通りです:
これらの副作用はごく少数の患者(全体の1〜2%程度)に発生すると報告されています。多くの場合、服用を中止すれば数週間〜数か月で改善します。また一部には、服用中止後も性的副作用が長引く「ポストフィナステリド症候群(PFS)」と呼ばれる問題も提起されていますが、非常に稀であり多くの専門医はその頻度は極めて低いと考えています。
総じて、フィナステリド・デュタステリドは適切な医師の管理のもとで用いればメリットが副作用リスクを上回る安全な薬剤です。
参照元: ishrs.org
まとめ
5α還元酵素阻害薬は頭皮のDHTを下げてAGA進行を抑える一方、ヒゲ・体毛への影響は多くの方で小さく、あっても「伸びが遅い」「やや細くなる」程度で、休薬すれば概ね元に戻る可逆的変化です。
感じ方には体質や薬剤特性(特にデュタステリドは強い)で幅があります。もし、AGA薬を飲んで「ひげが薄くなった」、AGA薬を中止して「ひげが濃くなった」と感じたなら、それはやはりAGA薬の影響なのです。どちらの場合も、薬を中止をすれば、元の状態に戻るので、安心してください。
筆者:元神 賢太
青山セレスクリニック/船橋中央クリニック院長/医療法人社団セレス理事長。
1999年慶応義塾大学医学部卒。
外科専門医(日本外科学会認定)。
美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。
美容外科医師会理事。
美容外科医・包茎治療・ペニス治療として20年以上のキャリアがある。リパス、リパスGの命名者であり、日本の第一人者。テストステロンブースターサプリ「TB-1」の開発者。
男性向けの性講座Youtube「元神チャンネル」は好評を博している。また、男性更年期障害(LOH症候群)の改善をライフワークとしている。
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