形成外科・泌尿器科・性病科
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更新日:2026/01/08
公開日:2026/01/10

多くの若い男性が、いざセックスの直前になると緊張で勃起しなくなる、いわゆる「緊張性ED」に悩んでいます。これは身体には問題がないのに、過度のプレッシャーや不安から性的興奮がうまく陰茎に伝わらず起こる現象です。「自分だけがおかしいのでは?」と落ち込む必要はありません。
実は20代〜30代男性の4人に1人ほどが勃起不全(ED)を経験したという報告もあり、緊張による一時的なEDは決して珍しくないのです。
この記事では、ED治療医として多くの若年男性の相談を受けてきた筆者が、緊張性EDの原因と克服法について医学的知見と臨床経験を交えて優しく解説します。
参照元: sciencedirect.com

緊張性EDとは、セックスの際の過剰な緊張や不安によって引き起こされる心因性のED(勃起不全)です。身体的な異常がない若い男性に多く見られ、「心では興奮しているのに身体が反応しない」状態と言えます。特徴的なのは、リラックスできる場面では正常に勃起できる点です。
例えば朝の勃起(朝立ち)や自慰行為では問題なく硬くなるのに、いざ性行為になると途端に萎えてしまう場合、緊張性(心因性)EDの可能性が高いです。リラックス時に勃起できるということは肉体的な機能障害ではなく精神的要因が影響している証拠であり、性行為へのプレッシャーや不安が原因で勃起が続かなくなるのがこのタイプのEDの特徴です。
緊張性EDは若年層に特に多い傾向があります。加齢による器質的EDとは異なり、ホルモン値や血管・神経系が健康でも起こり得ます。初めての性体験や経験の浅い相手との行為で「うまくやらなくては」と自分に過度なプレッシャーをかけることで発症しやすく、一度失敗すると「またダメだったらどうしよう」という不安が頭をもたげ、次回の性行為でも再び緊張して失敗する…という負のループに陥りがちです。
こうした心理的な要因によるEDは一時的なものから慢性的なものまで個人差がありますが、適切な対処で十分に克服可能なものです。「心因性ED」という正式な診断名もあり治療法も確立されていますので、決して恥じることはありません。

では、なぜ緊張すると勃起しなくなるのでしょうか? 鍵を握るのは自律神経の働きです。自律神経には、活動時に働く「交感神経」とリラックス時に働く「副交感神経」があり、通常この2つがバランスよく切り替わることで私たちの体の機能は保たれています。
勃起と射精もこのスイッチの上に成り立っています。男性の勃起は副交感神経優位のリラックス状態で起こり、射精は交感神経優位の緊張状態で起こるのです。本来セックス中は興奮(勃起)から絶頂(射精)へスムーズに自律神経が切り替わる必要があります。
ところが性行為への不安が強いと、この切り替えのタイミングが崩れます。性行為時は本来はリラックスすべき局面ですが、緊張や不安がある状態では常に交感神経が優位なままになってしまうのです。交感神経が過剰に働くと心拍数や血圧が上がり、血管が収縮して血液が筋肉に集中します。
これは緊張状態では人間にとって大切な機能ですが、勃起にとっては真逆の反応です。陰茎の海綿体に血液が充満するには血管が拡張しリラックスしている必要があるのに、緊張状態では血管が縮み血流が十分に届かなくなってしまいます。結果、どんなに「頑張ろう」と思っても意思の力では覆せず、体が言うことを聞かない状態になります。
このように勃起はリラックス(副交感神経優位)時に起こる生理現象なので、過度な緊張では勃起が維持できなくなるのです。また、精神面でも「失敗したらどうしよう」「またダメかも」という焦りや恐怖心が注意力を奪い、性的興奮に集中できなくなることも一因です。パートナーを喜ばせようと気負うあまり、自分自身を客観的に監視してしまう状態に陥ると、快感より不安が上回り勃起が萎んでしまいます。このような心理・生理の両面から、セックス直前の過緊張がEDを引き起こしているのです。

若い男性のEDの原因として最も多いのが心理的ストレスやプレッシャーによるものだと言われます。特に以下のような要因が緊張性EDを誘発しやすくなります。
「うまくやらなきゃ」「満足させなきゃ」という思いが強すぎると、自分で自分に緊張を課してしまいます。初めてのセックスや経験が浅い場合、必要以上に力んでしまい、興奮がうまく陰茎に伝わらなくなることが多いです。
以前に勃起できなかった経験や早漏になってしまった経験が強い不安となり、その記憶がプレッシャーとなって次の性行為でも緊張してしまうケースです。一度の失敗が頭を離れず「またダメになるのでは」という恐怖心が悪循環を生みます。
相手に嫌われたくない、失望させたくないという思いが強いと緊張が高まります。あるいはパートナーから心ない言葉を言われた過去(「役立たず」「情けない」など)がトラウマになることもあります。パートナーとの信頼関係の欠如は自信喪失につながり、結果として勃起を妨げることがあります。逆に言えば、普段から何でも話せる信頼関係を築いておくことが緊張性EDの予防・改善につながります。
仕事や勉強、人間関係のストレスが常に高い人や、不安症傾向の強い人はセックス時にもリラックスしにくくなります。慢性的なストレスで自律神経が乱れていると、いざという時に交感神経優位の状態から抜け出せずEDを発症しやすくなります。また、うつ病や不安障害などのメンタルヘルス不調もEDの原因となり得るため、心当たりがある場合はそちらの治療も大切です。
以上のように様々な心理的要因が絡み合って緊張性EDは起こります。しかし裏を返せば、心理面へのアプローチ次第で十分改善可能ということです。次章からは、緊張性EDを克服するための具体的な方法をいくつか紹介します。

緊張性EDを乗り越えるには、心と体の両面からリラックスする工夫が有効です。また必要に応じて医師の助けを借りることも検討しましょう。ここでは、今日から実践できる対策から専門的な治療まで、いくつかのポイントに分けて解説します。
緊張性EDの根本原因が心理的な不安である以上、その不安を和らげる方法が非常に有効です。「失敗したらどうしよう」という思考の悪循環を断ち切り、自信を取り戻せる方法を探しましょう。古典的な方法としては感覚集中法と呼ばれる方法です。
これは、段階的にお互いの体に触れ合う練習を通じて「感じること」そのものに意識を向け、セックスへの恐怖心を軽減する方法です。具体的には、最初は非性的なマッサージやスキンシップから始め、徐々に性感帯へのタッチへ進み、最終的に性交へと段階を踏んで慣れていきます。
こうした訓練によって「性交=プレッシャー」の図式を塗り替え、リラックスして性行為を楽しめるようになることが期待できます。
自分自身で今日からできる緊張対策として、深呼吸などのリラクゼーション法を取り入れてみましょう。ポイントは、セックスの不安で頭がいっぱいになったときに意識的に「今この瞬間」に集中し、体の感覚に注意を向けることです。不安によるEDを克服するには深呼吸などで心を現在に引き戻し、自分の体の感覚(触覚や呼吸)に意識を集中させることが有効です。
たとえば不安に駆られているとき、スーッと鼻から息を吸い、ゆっくり口から吐く深呼吸を何度か繰り返すだけでも自律神経のバランスが整い、心拍数が落ち着いてきます。実際に深呼吸は自律神経の安定に効果的だとされ、勃起に必要な副交感神経を優位にする助けになります。
また、セックスの前に体の緊張を解きほぐす簡単なエクササイズもおすすめです。緊張すると人は無意識に体のあちこちに力が入ります。次のような5つの部位に注目し、意識的に力を抜いてみてください。
これらは一例ですが、不安でガチガチに強張った身体を「今、自分はここを緊張させているな」と気付いて緩める練習をすることで、徐々にリラックスする感覚を掴みやすくなります。セックスの前や最中にふと緊張が高まったら、このエクササイズを思い出して体をリセットしたり、深呼吸したりしてみましょう。副交感神経が働きやすくなり、勃起が促されるはずです。
緊張性EDは自分一人で抱え込まず、ぜひパートナーと協力して乗り越える視点も持ってください。実はパートナーの理解と支えがあるかないかで、心理的プレッシャーの大きさは大きく変わります。まずは勇気を出して正直に悩みを打ち明けてみることをおすすめします。
「実は緊張すると上手くいかないんだ」「あなたに嫌われたくなくて力んでしまう」等、率直に伝えてみましょう。信頼できる相手に話すことで不安や羞恥心が和らぎ、心が軽くなるものです。またEDの原因について正しい知識を共有できれば、二人で改善策を模索しやすくなるでしょう。言い出しにくい場合はリラックスした雰囲気の中で切り出すと良いです。
パートナーと悩みを共有し二人三脚で向き合えば、「自分一人で抱えている」という孤独感が薄れ、セックスにも前向きに取り組めるようになります。セックスそのものにおいても、「挿入して射精すること」以外の楽しみ方を二人で探ってみてください。緊張性EDの男性は「きちんと最後まで性交を完遂しなきゃ」と思い詰めている場合が多いですが、実際にはセックスの形は人それぞれです。
必ずしも挿入ができなくても、お互いにオーラルセックスや手で愛撫し合うことで十分に快感を得られます。「勃起していないとセックスじゃない」「彼女を満足させられない」と考えるとプレッシャーですが、それは思い込みです。
実際、勃起が途中で萎えてしまっても性交渉自体をやめてしまわずに「じゃあ他の方法で気持ち良くなろうか」と切り替えて継続すれば、緊張が解けて再び勃起が戻ることもあります。二人で「ゲーム」のように工夫して快感を追求すれば、「できなかったら終わり」という恐怖心も薄れ、次第にプレッシャーを感じにくくなるでしょう。
ED治療薬(PDE5阻害薬)の助けを借りることも検討しましょう。バイ●グラやシ●リスに代表されるED治療薬は、陰茎の血管平滑筋を弛緩させ血流を増やすことで勃起を促進する薬です。もともとは器質性ED(血管や神経の障害)向けの薬ですが、心因性EDにも非常に有効で、多くの若い患者さんが恩恵を受けています。薬の力で物理的に勃起しやすくしてあげることで、「ちゃんと硬くなった!」という成功体験が自信に繋がり、精神的な不安がぐっと軽減されます。
実際、20代の患者さんの場合、最初の数回はED治療薬を服用して性交することで「大丈夫だった」という安心感を得て、次第に薬無しでも上手く性行為が行えるようになるケースが非常に多いのです。幸い現在のED治療薬は適切に使用すれば副作用も軽度で安全性が高く、若い世代でも問題なく使えます。当院でも必要な患者さんには積極的に処方していますが、「もっと早く使えば良かった」との声が多いです。
恥ずかしさや抵抗感から我慢するより、一時的に道具を借りてでも問題を解決し前進する方が建設的です。もちろん自己判断でネット購入するのではなく、必ず医師の診察を受けて処方してもらってください。専門医に相談するだけでも「悩みを打ち明けられた」ことで心が軽くなるものです。勇気を出して一歩踏み出してみましょう。

実際に当院にも、初回の性行為で緊張のあまり勃起できなかったことがトラウマとなり、その後彼女とうまく性交できなくなってしまった20代男性が来院しました。身体検査では異常がなく典型的な緊張性EDと判断したため、パートナー同席のもとカウンセリングを行い、不安の原因を一緒に整理しました。
また「最初の数回は薬に頼ってもいいから気楽に試してみよう」と提案し、低用量のED治療薬を処方。服用後は十分な硬さを得られたことで性交に成功し、「大丈夫だった」という成功体験が自信回復に直結しました。その後、この患者さんは薬なしでも勃起できるようになり、現在では緊張せずセックスを楽しめるようになっています。
まとめ
緊張性の若年性EDは、決して珍しくない現象であり、適切な対処で克服可能な悩みです。若いからといって「自分に限ってEDになるなんて」と思い詰める必要はありません。これは一時的な生理反応にすぎず、あなたの人間的価値とは何の関係もありません。
実際、筆者のクリニックでも多くの若い患者さんがこの悩みを乗り越えていかれます。大切なのは一人で抱え込まず、正しい知識を持って対策を講じることです。本記事で紹介したように、心と体のリラックス方法やパートナーとの協力、必要に応じた専門家の助けを取り入れてみてください。最初はうまくいかないことがあっても、それは改善へのプロセスの一部です。少しずつ不安を和らげ、自信を取り戻していきましょう。
セックス本来の目的はお互いが楽しみ、親密さを深めることです。緊張という壁を乗り越え、パートナーとの時間を心から楽しめるよう応援しています。困ったときは専門クリニックの門を叩いてください。あなたの悩みに寄り添い、解決へのお手伝いをする専門家が必ずいます。一日でも早く不安から解放され、充実した性生活を取り戻せることを願っています。
筆者:元神 賢太
青山セレスクリニック/船橋中央クリニック院長/医療法人社団セレス理事長。
1999年慶応義塾大学医学部卒。
外科専門医(日本外科学会認定)。
美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。
美容外科医師会理事。
美容外科医・包茎治療・ペニス治療として20年以上のキャリアがある。リパス、リパスGの命名者であり、日本の第一人者。テストステロンブースターサプリ「TB-1」の開発者。
男性向けの性講座Youtube「元神チャンネル」は好評を博している。また、男性更年期障害(LOH症候群)の改善をライフワークとしている。
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