形成外科・泌尿器科・性病科
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更新日:2025/11/13
公開日:2025/11/13

真性包茎というと、生まれつきや子供の頃からの状態を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし実際には、「大人になってから真性包茎になってしまった」というケースも存在します。これが後天的真性包茎と呼ばれる状態です。
真性包茎とは、勃起時はもちろん平常時でも包皮が全くむけない状態を指し、先天的なものだけでなく、後から生じる場合もあります。では、なぜ大人になってから包茎になってしまうのでしょうか。
本記事では、年間包茎手術1000例以上行っている筆者の視点から、後天的に真性包茎になる主な原因について、最新の研究結果も踏まえて専門的かつ分かりやすく解説します。

↑皮の先端が太い輪ゴムのようになり、亀頭が露出できない状態。
まず、後天的真性包茎が起こる基本的なメカニズムについて説明します。ポイントは包皮の慢性的な炎症と傷による瘢痕化(硬化)です。包皮に繰り返し炎症が生じたり、小さな亀裂や傷ができたりすると、治る過程で皮膚組織が徐々に硬く厚くなり弾力を失います。
その結果、包皮の開口部が狭くなっていき、以前は露出できていた亀頭が完全に露出できない状態(真性包茎)に至ることがあります。特に包皮にできた裂傷が何度も起こると傷跡が白く瘢痕化し、輪ゴム状の硬い輪っか(締め付け帯)となってしまうため注意が必要です。
包皮が硬く狭くなる背景として、亀頭包皮炎(亀頭と包皮の炎症)の反復も重要です。例えば、不衛生な状態が続いたりカンジダ菌などの感染が起これば亀頭包皮炎を繰り返しやすく、炎症によって皮膚が切れたりただれたりします。こうした慢性的炎症の積み重ねが包皮の柔軟性を奪い、後天的に真性包茎へと進行し得るのです。
つまり「包皮が硬くなるほどの炎症」がキーワードになります。
▶️ 合わせて読みたい:【ちんこの皮が切れる理由】硬化性苔癬かも?ガンになる危険性

↑糖尿病により包皮の先端がひび割れるようになり、強く締め付けてむけない状態。
筆者の経験上、後天的真性包茎の患者さんの多くは糖尿病が関与しています。実際に診療していると、「健康診断では糖尿病を指摘されたことがない」という方でも詳しく検査すると隠れた糖代謝異常(糖尿病予備軍や糖尿病)が見つかるケースが少なくありません。中には、包茎になったことをきっかけに後から糖尿病と診断される例もあります。
海外の研究でも、後天的包茎患者の約3割に糖尿病の既往があり、糖尿病と知らずに受診した後天的包茎患者のうち約12%が検査によって新たに糖尿病や耐糖能異常と判明したと報告されています。これは「成人になって突然真性包茎になった場合、糖尿病が隠れている可能性がある」ことを示唆する重要な知見です。
なぜ糖尿病だと包茎になりやすいのでしょうか。その理由の一つは、高血糖による感染症リスクの増大です。
血糖コントロール不良だと尿中に糖分が漏れ出しやすくなり、包皮内部は細菌や真菌(カンジダ等)が繁殖しやすい高糖環境になります。その結果、亀頭包皮炎やカンジダ性包皮炎(カンジダ性亀頭炎)を頻発し、包皮に亀裂やただれが繰り返し生じてしまいます。さらに糖尿病では傷の治りも遅いため、一度できた裂傷が治癒せず慢性化・瘢痕化しやすいのです。

↑糖尿病性包皮炎の状態で包皮に損傷がある
その蓄積が前述のメカニズムで包皮口の硬化・狭窄を引き起こし、真性包茎へと至りやすくなります。実際、「後天的真性包茎+包皮の亀裂」という組み合わせは糖尿病の重要なサインです。台湾からの研究報告では、包皮に亀裂を伴う後天性包茎患者28名全員が未診断の糖尿病であったのに対し、亀裂を伴わない後天性包茎患者では7.1%しか糖尿病が見つからなかったとされています。
この結果から研究者らは「若年男性で亀裂を伴う包茎は糖尿病の特異的兆候である」と結論づけ、亀裂を伴う包茎患者には血糖検査を行うことを強く推奨しています。裏を返せば、知らぬ間に進行していた糖尿病が包茎という形で“表面化”するケースがあるということです。
参照元: pubmed.ncbi.nlm.nih.gov、emedicine.medscape.com
糖尿病以外で後天的真性包茎の原因として重要なのが硬化性苔癬(こうかせいたいせん)という皮膚疾患です。硬化性苔癬(正式には硬化性萎縮性苔癬、英語ではLichen sclerosus)は、男性では主に陰茎の亀頭や包皮に起こる慢性炎症性の皮膚病変です。一般にはあまり知られていませんが、実は包茎手術を受けていない男性で包皮に強い炎症が続く場合には決して珍しくない原因とされています。
硬化性苔癬が陰茎に起こると、包皮に白色の斑点やびらん(ただれ)、亀裂が生じたり皮膚がカサカサに乾燥することがあります。初期には自覚症状が乏しいため見過ごされがちですが、炎症が進行すると皮膚の弾力が失われ硬化が進み、次第に包皮がむけなくなる(真性包茎になる)ことがあります。
実際、硬化性苔癬による慢性炎症で包皮の先端(包皮輪)が徐々に狭くなることで、真性包茎やカントン包茎(嵌頓包茎:むけかかった包皮が亀頭を締め付け戻せなくなる状態)を引き起こすことが知られています。

↑硬化性苔癬では包皮の炎症が続くことで、包皮の亀裂、かさつき等さまざまな症状が生じる
言い換えれば、硬化性苔癬もまた後天的真性包茎を生じる主要な原因なのです。硬化性苔癬の正確な原因は未解明ですが、包皮内に溜まった尿や恥垢などの刺激による慢性炎症が一因と考えられています(そのため小児期に包茎手術が一般的な欧米やユダヤ教徒社会では発症が極めて稀です)。また、肥満体型の人や尿道下裂など解剖学的な要因がある人でリスクが高いとも報告されています。
いずれにせよ、一度この疾患が進行すると薬物治療では限界があり、根本的な対策は包茎手術(患部の包皮を切除)となります。硬化性苔癬は単に包茎になるだけでなく、将来的なリスクも看過できません。放置すれば炎症が持続するため、患部の皮膚がん(陰茎がん)に進展する可能性が指摘されています。
実際、陰茎がん患者の3分の1~2分の1に硬化性苔癬の合併がみられるとの報告や、硬化性苔癬患者では最大12.5%の症例で陰茎がんを発症したとのデータもあります。幸い陰茎がん自体は稀ですが、硬化性苔癬による後天的包茎が見られる場合は早めに医師の診断と治療(包茎手術)を受けることが大切です。
▶️ 合わせて読みたい:【ちんこの皮が切れる理由】硬化性苔癬かも?ガンになる危険性

糖尿病や硬化性苔癬以外にも、成人になってから包皮がむけなくなる原因はいくつか存在します。主なものを以下にまとめます。
以上のように、後天的真性包茎の背景には様々な要因が絡んでいます。いずれの場合も共通しているのは、包皮への慢性的ダメージ(炎症や裂傷)が蓄積することにより包皮が硬く縮んでしまう点です。
▶️ 包茎手術についてはこちら
まとめ
大人になってから急に包皮がむけなくなると不安になるものですが、その背後には本記事で述べたように糖尿病や硬化性苔癬など放置できない原因が潜んでいることがあります。特に繰り返す包皮の亀裂や炎症がある場合、「そのうち治るだろう」と放置せず、ぜひ一度専門の医師による診察を受けてください。
血糖値のチェックや皮膚の検査により、隠れた糖尿病の有無や硬化性苔癬など皮膚疾患の診断が可能です。原因に応じて、適切な治療(糖尿病であれば血糖コントロール、感染症なら抗菌治療や抗真菌治療、硬化性苔癬であれば包茎手術など)を行うことで症状の進行を食い止められます。
真性包茎そのものは放置すると衛生管理が難しく感染症のリスクも高まりますし、性生活にも支障を来すことがあります。原因疾患の治療に加えて包茎自体の根本治療(包茎手術)が必要と判断されるケースも多いです。恥ずかしさから我慢するのではなく、専門家に相談し早めの対応をとることで、健康で快適な生活を取り戻すことができるでしょう。
筆者:元神 賢太
青山セレスクリニック/船橋中央クリニック院長/医療法人社団セレス理事長。
1999年慶応義塾大学医学部卒。
外科専門医(日本外科学会認定)。
美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。
美容外科医師会理事。
美容外科医・包茎治療・ペニス治療として20年以上のキャリアがある。リパス、リパスGの命名者であり、日本の第一人者。テストステロンブースターサプリ「TB-1」の開発者。
男性向けの性講座Youtube「元神チャンネル」は好評を博している。また、男性更年期障害(LOH症候群)の改善をライフワークとしている。
包茎手術, 包皮炎, 真性包茎, 糖尿病, 後天的真性包茎, 硬化性苔癬
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