形成外科・泌尿器科・性病科
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更新日:2025/05/02
公開日:2025/04/14

近年、「クンニすると癌になる」という衝撃的な話題がSNSを中心に広がっています。パートナーとの親密さを高める愛情表現であるにもかかわらず、こうした不安から行為自体を避ける男性が増えていると報告されています。実際のところ、性行為が原因で本当に癌が発症するリスクはどの程度あるのでしょうか?この記事では、SNSで話題になっているクンニと癌の関連性について、最新の医学的知見から真実を明らかにするとともに、最も効果的な予防策を詳しくご紹介します。
近年、HPV(ヒトパピローマウイルス)に起因する女性の子宮頸がんと男性の中咽頭(喉の奥)がんの発症率がともに増加傾向にあることが、海外の統計や研究から報告されています。例えばイギリスでは、HPV関連の中咽頭がん(喉のがん)の発症率が過去数十年で劇的に上昇し、2015年には男性の中咽頭がんの新規症例数が女性の子宮頸がん数を上回ったと報告されています。また米国でも、30~40代の女性では子宮頸がんの発症率が2010年代に毎年約1.7%ずつ増加していたとのデータがあります。これらの数字は、男女それぞれでHPVに起因するがんが増えている現状を示しています。
参照元:Why more men are getting throat cancer like Michael Douglas

一見無関係に思える子宮頸がんと中咽頭がんですが、いずれもHPV(ヒトパピローマウイルス)感染によって引き起こされる点で共通しています。HPVは皮膚や粘膜に感染するウイルスの一群で、100種類以上の型があります。その中で高リスク型と呼ばれるもの(特に16型・18型など)は細胞のがん化を引き起こすことで知られています。実際、世界中の子宮頸がん症例の95%以上から高リスク型HPVが検出されており、そのうち最多なのがHPV16型です。同様に、中咽頭がんでも高リスクHPVの関与が認められ、特にHPV16型は主要な原因ウイルスとされています。ある研究では、中咽頭がん患者の腫瘍検体の72%からHPV16型のDNAが検出されており、HPV16型に口腔内で感染している人は中咽頭がんのリスクが有意に高い(オッズ比14.6倍)ことが示されました。このようにHPV、とりわけ16型が両者の発症に強く関与しているのです。
HPVは性交渉によって広く伝播するごくありふれたウイルスです。性交渉の経験がある人の大半(一説には80%以上)が一生のうちに何らかのHPVに感染すると言われ、その多くは一過性で自然消失します。しかし、一部で感染が長期間持続すると、感染から10~30年もの潜伏期間を経てがんに進行する場合があります。子宮頸がんはまさにHPV感染の持続が主因であり、同様のメカニズムで中咽頭(喉)の粘膜でもHPV感染が長く続くと細胞ががん化するリスクが生じます。

では、男性の中咽頭がん増加と性的行動の変化にはどのような関係があるのでしょうか。一つのポイントは、オーラルセックス(口唇や舌による性器刺激)を介したHPV感染です。特に男性が女性の外陰部を口で愛撫するクンニリングス行為によって、女性の性器に潜伏していたHPVが男性の喉に感染する経路が指摘されています。実際、専門家は「オーラルセックスがHPV陽性の喉頭がん(中咽頭がん)の主要なリスク因子である」と報告しており、性的パートナー数が多いほどそのリスクが高まることが複数の研究で示されています。
たとえば、米国で行われた有名な症例対照研究では、オーラルセックスのパートナー数が多い人ほど中咽頭がんになりやすいことが示されました。生涯で6人以上とオーラルセックスを行った人は、そうでない人に比べて中咽頭がんの発症リスクが3.4倍にも上昇していたのです。同じ研究では、HPV16型への感染そのものが中咽頭がんの発症と極めて強い関連を示し、口腔内にHPV16型が検出された人の中咽頭がんリスクは検出されない人の約15倍にも達しました。また別の調査でも、オーラルセックスのパートナーが5人を超える男性はそうでない男性より中咽頭がんになる確率が68%高いと報告されています。このようにオーラルセックス、とりわけクンニリングスによるHPV感染が中咽頭がんの重要なリスク因子であることが明らかになっています。
有名な例では、かつて世界一のモテ男と言われたハリウッド俳優のマイケル・ダグラス氏が自身の喉のがんについて「原因はクンニリングスによるHPV感染だ(原文”this particular cancer is caused by HPV, which actually comes about from cunnilingus”)」と公表し、大きな話題となりました。当初その発言は驚きをもって受け止められましたが、現在では医学的にも「彼の発言は時代を先取りしていた」と評価されています。実際、米英を中心に中咽頭がん患者の大半からHPV16型が検出されており、従来は喫煙や飲酒が主因と考えられていた頭頸部がんの様相が、近年では性的経路で感染するHPVが主要因となるタイプ(HPV陽性中咽頭がん)へと置き換わってきているのです。
興味深いことに、男性の中咽頭がんの増加は若年世代におけるオーラルセックスの一般化とも符合します。ある報告によれば、現在40歳未満の若い男性のほとんどが経験しているオーラルセックスですが、これは団塊世代よりも遥かに高い割合だといいます。性的接触のパターンが変化しオーラルセックスが一般化したことで、喉へのHPV感染機会が増え、中咽頭がんの発症が増えている可能性が示唆されています。

↑マイケル・ダグラス氏
参照元:Nasopharyngeal Cancer(Cleveland Clinic)
こうした情報が広まるにつれ、若い世代を中心にHPV感染への不安から特定の性的行為を控えようとする動きもSNS上で見られるようになってきました。例えば最近、海外のオンライン掲示板では「彼女にクンニをすると喉頭がんになるかもしれないから、彼女のオーラルセックスはしない」と主張する男性の書き込みが注目を集めました。投稿者の女性によれば、彼氏は「HPVが喉頭がんの主因だから」という理由でクンニリングスを拒否しているとのことです。この女性自身はHPVワクチンも接種済みで子宮頸がん検診も正常だったため困惑していましたが、彼氏としては「たとえ今パートナーがウイルスを持っていなくても、将来別の人から感染するリスクもあるから」と考えているようだ、という内容です。
このケースは一例に過ぎませんが、「喉のがんになりたくないからクンニしない」という男性の声はSNS上で少しずつ増えてきているようです。日本でもQ&Aサイトに「女性器を舐める行為は発がん性があるとSNSで見たが本当か?」といった質問が投稿されるなど、一般の人々の間でも不安や疑問が広がっていることが伺えます。背景には、HPVとがんの関係に関する知識が普及してきたこと、特に男性にとって中咽頭がんというリスクが可視化されてきたことがあります。
もちろん、オーラルセックス自体が直接がんを「引き起こす」わけではなく、あくまでHPV感染という間接的な経路が問題なのですが、こうしたリスク情報はしばしば不安を掻き立てがちです。SNSで見られる「クンニしない宣言」は、その極端な対処法の現れと言えるでしょう。性的親密さよりも健康リスク回避を優先する姿勢は理解できる一方で、パートナー間の性的な満足度や信頼関係に影響を及ぼす可能性もあります。このような風潮に対し、専門家からは「正しい知識に基づいた冷静な対応」が呼びかけられています。では、リスクを下げつつパートナーとの良好な性的関係を保つには、具体的にどうすればよいのでしょうか?
→合わせて読みたい「コンジローマに性行為をしてないのに感染するか?」
HPVによるがんリスクを下げる最も有効な方法は、予防接種(HPVワクチンの接種)です。HPVワクチンは子宮頸がん予防のため女性に勧められてきましたが、近年では男性にも思春期のうちに接種することが推奨されています。ワクチンによって高リスク型HPVへの感染自体を防ぐことができれば、将来的ながん発症も大幅に減らせるからです。事実、新しい研究ではHPVワクチンを接種した男性は、接種していない男性に比べてHPV関連のがん(喉や肛門、陰茎など)の発症率が有意に低かったことが示されました。特に口腔・中咽頭のHPV感染予防効果も示唆されており、今後数十年のスパンで男性の中咽頭がん発症は劇的に減少すると期待されています。
現在、米国疾病予防管理センター(CDC)など各国の公衆衛生当局は、11~12歳までに男女ともHPVワクチンを接種し、未接種の場合は26歳までは「キャッチアップ接種」を受けるよう勧告しています(日本でも2020年以降、男性への接種が承認されています)。しかしながら男性の接種率は女性よりも低い傾向があり、専門家は「男の子の保護者にも、HPVワクチンが将来のがんリスクを下げることを知ってほしい」と強調しています。幸い、すでに成人になった男性でも26歳くらいまでであれば接種が推奨されており、たとえ遅くなっても今から接種してリスク低減に努める意義は十分にあります。
ワクチン以外にも、性行為時にコンドームやデンタルダムを使用することでHPV感染リスクをある程度下げることができます。しかしHPVは皮膚粘膜の接触で容易にうつるため、完全に防ぐことは困難です。やはり根本的な予防策としてはワクチンが有力であり、「相手を大切に思うならこそ、自分もワクチンを打ってお互いを守る」という姿勢が望ましいでしょう。

↑HPVワクチンを受ける筆者
まとめ
女性の子宮頸がんと男性の中咽頭がんという、一見別個の疾患が近年増加し社会的な課題となっていますが、その背景には共通の原因ウイルスであるHPVの存在と、性的行動の変化があることが明らかになってきました。オーラルセックスの普及に伴い、HPVがんのリスクについて議論される機会も増え、SNS上では極端な反応も見られます。しかし、大切なのは正確な知識に基づいて行動することです。幸い科学的エビデンスに裏付けられた予防法、例えばHPVワクチンの接種や定期検診の受診があります。パートナーとの性的関係を大切にしつつも、不安に振り回されるのではなく、科学的に有効な対策を講じてリスクと向き合うことが重要です。
性教育の一環としても、男性も含めたHPV予防の啓発は急務と言えるでしょう。男女ともにHPVに感染しうる以上、がん予防の恩恵も男女が等しく享受すべきです。正しい知識を共有し、お互いの健康を思いやることが、安心して親密な関係を築く土台となります。子宮頸がんも中咽頭がんも「防げるがん」です。恐れるあまり愛情表現を断念するのではなく、予防策をとった上でパートナーとの豊かな関係を育むことが、現代の私たちに求められているのではないでしょうか。
筆者:元神 賢太
青山セレスクリニック/船橋中央クリニック院長/医療法人社団セレス理事長。1999年慶応義塾大学医学部卒。外科専門医(日本外科学会認定)。美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。美容外科医・包茎治療・ペニス治療として20年以上のキャリアがある。リパス、リパスGの命名者であり、日本の第一人者。男性向けの性講座Youtube「元神チャンネル」は好評を博している。
※リパス、リパスGは医療法人社団セレスの商標登録です。
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