形成外科・泌尿器科・性病科
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更新日:2025/11/05
公開日:2025/11/05

インターネット上でよく囁かれる噂に「夜勤の多い女性看護師は性欲が強い(エロい)」というものがあります。夜勤で生活リズムが乱れるとメラトニン(睡眠ホルモン)の分泌が低下し、性ホルモン(テストステロンやエストロゲン)の抑制が緩むことで一時的に性欲が高まるとか、夜勤のストレスでコルチゾール(副腎皮質ホルモン)やドーパミンが増えて性的衝動を刺激する、などといった説が見られます。果たしてこの「夜勤をする看護師はエロい」説は科学的に正しいのでしょうか?
本記事では、夜勤勤務が人間のホルモンや性行動に与える影響について、最新の科学的エビデンスを基に検証してみます。

まず、夜勤が生体リズムにどんな影響を及ぼすかを確認しましょう。人間の体は約24時間周期の概日リズムで動いており、脳の視交叉上核が体内時計の司令塔です。このリズムは光によって調節され、夜間暗くなると睡眠ホルモンのメラトニンが分泌されます。
しかし夜勤では夜間に明るい光を浴び続けるため、このメラトニン分泌が抑えられてしまいます。 実際、看護師など夜勤者ではメラトニンの分泌量低下や分泌タイミングの乱れが観察されています。
さらに、夜勤による睡眠–覚醒サイクルの乱れはコルチゾール(日中に高まるストレスホルモン)の分泌リズムも乱してしまいます。 つまり夜勤生活では、「夜に眠くなり朝に目覚める」という本来のホルモンサイクルが崩れてしまうのです。
メラトニンは単に睡眠を誘うだけでなく、生殖関連ホルモンの調節にも関与しています。動物実験ではメラトニンが性腺刺激ホルモン(GnRHやLH)の分泌を抑えることが報告されており、人でも夜間のメラトニン上昇が性ホルモンの分泌パターンに影響を与えている可能性があります。
したがって夜勤でメラトニンが減少すると、性ホルモンの抑制が緩み、ホルモン分泌が通常とは異なるパターンになることが考えられます。

夜勤は肉体的・精神的ストレスも伴います。深夜に働く緊張感や睡眠不足は、身体に「非常事態だ!」と信号を送り、副腎からコルチゾールなどのストレスホルモンを放出させます。コルチゾールは私たちを覚醒・警戒させる「戦うか逃げるか」の反応を引き起こし、心拍数や血糖を上昇させます。
このコルチゾール、ストレスが慢性的に高い状態では性欲を減退させることで知られています(いわゆる「ストレスでそれどころじゃない」状態)。 しかし一方で、急性のストレスや緊張下ではコルチゾールが脳の報酬系を刺激し、性刺激への反応を高めるという報告もあります。
例えば若年男性を対象とした研究では、コルチゾールの基礎値が高い人ほど性的な想像による興奮度が高い傾向が示されています。 コルチゾールは情動喚起を高める作用があり、それによって性的興奮やアプローチ行動に影響を与え得ると指摘されています。
つまり、コルチゾールには「緊張で萎縮させる面」と「興奮を高める面」という二面性があるのです。
さらにドーパミンという脳内物質も重要です。ドーパミンは「快感」や「やる気」に関わる神経伝達物質で、性的興奮や恋愛感情にも深く関与します。面白いことに、睡眠不足になると脳内ドーパミンが一時的に増加することが知られています。
たとえば一晩徹夜した人の脳を調べた研究では、報酬や覚醒に関与する線条体や視床という部位でドーパミン量が上昇していました。 これは体が「眠いけど起きなきゃ!」と無理やり興奮物質を出して覚醒を維持しようとするためと考えられます。
ドーパミンは適度に増えると多幸感やテンションの高まりをもたらすため、夜勤中にハイテンションになったり妙に開放的な気分になる人もいるでしょう。このドーパミン増加は一時的には性的衝動を高める方向にも働きかねません(いわゆる「寝不足でハイになって妙にテンションがおかしい」状態です)。
以上のように、夜勤による睡眠不足・ストレス環境下では、コルチゾールやドーパミンといった物質の分泌バランスが普段と変わり、一時的な覚醒・興奮状態が生じる可能性があります。ネット上の「夜勤で性欲が亢進する」という声は、こうしたホルモン・神経伝達物質の変化を根拠に語られているのでしょう。
では、実際に夜勤者の体内では性ホルモンにどのような変化が起きているのでしょうか?
次のセクションで見てみましょう。
理論的には「メラトニン減→性ホルモン増」で性欲アップしそうにも思えますが、科学的なデータは何を示しているでしょうか?
最近の研究結果を紹介します。

まず、夜勤で性ホルモンの分泌リズムや量がどう変わるかを調べた研究があります。男性と女性の混在する夜勤労働者75名と日勤労働者42名を比べた調査では、夜勤者の方が性ホルモン代謝物の総排出量が有意に高いことが報告されました。
具体的には、夜勤者は日勤者に比べてアンドロゲン(男性ホルモン)や黄体ホルモン類の産生量が約1.4~1.6倍高かったのです。 さらに、ホルモンのピーク時間が夜勤者では大幅に遅れることも分かりました。
例えば通常、男性ホルモンのテストステロンは朝方にピークを迎えますが、夜勤者ではピークが正午過ぎまで後ろ倒しになっていたのです。 これは概日リズムのシフトによりホルモン放出タイミングがズレ込んだことを示唆します。
興味深いのは、この研究ではメラトニン(6-スルファトキシメラトニン)の分泌低下も夜勤者で確認されたものの、ホルモン増加との直接的な因果関係は明確でなかったことです。 つまり、メラトニン減少=即ホルモン暴走、という単純な図式ではなく、他の要因も絡んで性ホルモンが「増加&時差ボケ」状態になっているようです。
増加したホルモンの中にはアンドロゲン(男性ホルモン)だけでなく黄体ホルモン類(プロゲステロン代謝物)も含まれていました。 これらの変化は、夜勤者におけるホルモン依存性疾患(例えば前立腺癌や乳癌)のリスク増加とも関連しうると指摘されています。

では、より今回のテーマに近い女性看護師ではどうでしょうか。タイムリーな研究として、2025年に公表された女性病院勤務者(看護師)のホルモン調査があります。
それによると、夜勤(交替制勤務)の女性看護師は日勤のみの看護師に比べて、朝採った血中のホルモンに以下のような特徴が見られました :
つまり、夜勤看護師はストレスや副腎アンドロゲンの増加が見られる一方で、女性ホルモンは減少していたということです。 研究者は「夜勤スケジュールによる一部ホルモンの上昇はストレスに関連するものだろう」と述べており、女性ホルモンの増加は観察されなかったと結論づけています。 さらに意外なことに、この研究では唾液中のメラトニンやコルチゾールの日内リズムには大きな変化が認められませんでした。
おそらく調査対象の看護師は交替制でも「5日サイクルで1回だけ夜勤」*という比較的緩やかなシフトだったため、体内時計が完全には夜型に順応せず、朝夜のホルモンリズム自体は保たれていたのかもしれません。それでも血中ホルモンには上記のような差が出ており、夜勤のストレス負荷がうかがえます。
以上のような研究から総合すると、夜勤者では性ホルモンの分泌量やタイミングに変調が起きることは確かなようです。男性ホルモンや黄体ホルモン系が増加する一方で、女性ホルモンが低下するケースもありました。
これだけ聞くと「男性ホルモン上がる⇒性欲アップ?」と思うかもしれません。確かにテストステロンは男女とも性欲を高めるホルモンです。
ただし体内でホルモンが増えても、その人が実際に性衝動を感じるかどうかは別問題です。
次の項で、夜勤者本人の感じる性欲や性機能の変化についてデータを見てみましょう。

ホルモンの変化は分かりましたが、肝心なのは「夜勤者本人の性的な欲求や満足度がどう変わるか」です。もし「女性看護師はエロい」という噂が真実なら、夜勤者は日勤者より性欲旺盛で性生活も充実…となりそうですが、果たして科学的調査の結果はどうでしょうか?
残念ながら(?)結論から言うと、夜勤女性は性欲が増すどころか、むしろ性的満足度が低下する傾向が各種研究で示されています。例えばポーランドで行われた大規模調査では、夜勤をしている助産師(520人中416人が夜勤あり)のグループは日勤専従のグループと比べ、以下のような性的不満・問題の増加が報告されました :
夜勤者グループではこれら性的満足度の指標がすべて有意に悪化しており、しかも夜勤回数が多い人ほど症状が重い傾向が見られました。 さらに、日勤のみの人の方が子供を持っている割合が高く、性生活の満足度も高いことが示されています。
要するに夜勤の女性は生殖面・性生活面で不利益を被りがちというデータです。
「夜勤組は妊娠しづらく性生活もうまくいかない、日勤組の方が家庭円満」とも解釈でき、何やら身も蓋もない結果ですね。
また台湾で行われた研究(2013年)でも、夜勤看護師は睡眠の質が悪く健康感も低下しており、さらに女性の性的機能にも影響が出ていると報告されています。 具体的にどのような性的影響かは詳細が紹介されていませんが、おそらく上記のような性欲減退や性的満足度低下を示唆しているのでしょう。
こうした調査は「因果関係」までは断定できないものの、かなり明確に夜勤が女性の性機能を損なう関連を示唆しています。夜勤による疲労や睡眠不足、ホルモン乱れが重なり、*「そんな気分になれない」「パートナーとの時間が合わない」**など様々な要因で性生活の質が下がってしまうのでしょう。

今回は「女性看護師」がテーマですが、参考までに男性の場合も触れておきます。男性にとって性欲の鍵を握るテストステロン(男性ホルモン)は、睡眠と深い関係があります。睡眠不足が続くとテストステロン値は大きく低下し、性欲減退や勃起不全(ED)のリスクが高まります。
事実、夜勤シフトの男性は勃起機能のスコアが悪く、慢性的な睡眠障害を抱える夜勤労働者ではED傾向が一層顕著という報告もあります。ある医師は「シフト労働の男性は性欲減退と妊娠させる力の低下に注意」と警鐘を鳴らしています。つまり男性だって夜勤で「ムラムラが増す」どころか精力ダウンしかねないのです。

以上のエビデンスを踏まえ、この疑問に答えてみましょう。「女性看護師はエロい」というのは科学的には都市伝説と言えそうです!
確かに夜勤によるホルモンバランスの変化で、一時的・一部の人には性衝動の高まりを感じるケースもあるかもしれません。例えば夜勤明けで妙にハイになって「朝帰り前になぜかテンションMAX!」なんて看護師さんがいたら、それはドーパミン過剰でちょっとムラムラ…なんてこともゼロではないでしょう。しかし、それは特殊な状況や個人差による一過性のものと考えるのが妥当です。
全体的な傾向としては、夜勤続きの看護師さんは疲労困憊、ホルモンは乱れ、むしろ性欲や性生活は低調になりがちです。 仕事柄不規則な生活に追われ、帰宅したら寝るのが精一杯…となれば、「エロいこと」より「寝たい!」が本音ではないでしょうか。科学のデータは、その現実を如実に物語っています。
ではなぜこのような噂が生まれたのか考えてみると、いくつか推測できます。ひとつは冒頭で述べた生理学的仮説です。
夜勤でメラトニンが減る→性ホルモンの抑制が解かれる→性欲アップ?という短絡的な連想が独り歩きしたのでしょう。しかし実際はホルモンの働きは複雑で、性反応はメンタルや体調要因にも大きく左右されます。メラトニンが減ったとしても、疲れてストレスフルな状態で「よしエロ全開だ!」とはなかなかいきません。
もうひとつはステレオタイプやフィクションの影響です。看護師は昔から“セクシーなお色気”キャラに描かれがちですし(某コスプレの定番ですね)、忙しい仕事の反動でプライベートではハメを外しているのでは…と勝手に想像する向きもあるでしょう。
極端な例では「看護師はストレス発散に性行為に走りやすい」なんて俗説もあります。しかしそれは一部の噂や偏見であって、大多数の看護師さんに失礼というものです。実際、看護師を含む医療従事者はそのハードワークゆえストレス対処に苦労しており、中には不健康な手段(アルコールやタバコ等)に頼る人もいますが、だからといって皆が皆「性的に奔放」なわけではありません。
まとめ
最後に本記事の内容をまとめます。
結論:女性看護師が皆エロいかどうかは人それぞれですが(もちろん個人差はあります!)、少なくとも夜勤が多いから性欲モリモリ…という単純な話ではないようです。むしろ彼女たちは不規則勤務でヘトヘトになりながらもプロ意識で働いており、オフの日は「睡眠欲>性欲」になってしまうことも多いでしょう。世の中の男性諸氏は都合のいい妄想はほどほどに、看護師さんには日頃の労をねぎらいつつ優しく接してあげてくださいね。科学的検証を踏まえつつ、健全なリスペクトを忘れずに!
筆者:元神 賢太
青山セレスクリニック/船橋中央クリニック院長/医療法人社団セレス理事長。
1999年慶応義塾大学医学部卒。
外科専門医(日本外科学会認定)。
美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。
美容外科医師会理事。
美容外科医・包茎治療・ペニス治療として20年以上のキャリアがある。リパス、リパスGの命名者であり、日本の第一人者。テストステロンブースターサプリ「TB-1」の開発者。
男性向けの性講座Youtube「元神チャンネル」は好評を博している。また、男性更年期障害(LOH症候群)の改善をライフワークとしている。
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