形成外科・泌尿器科・性病科
東京・千葉・大阪・北海道・福岡
- 【クリニックのご案内】
- クリニックは青山院(東京)、船橋院(千葉)、福岡院(福岡)、大阪院(大阪)、札幌院(北海道)があり、いずれも元神医師が診療しております。

更新日:2025/10/15
公開日:2025/10/17

スッポン(※日本で食用とされる軟甲亀)は古来より「滋養強壮」「精がつく」食材として知られ、中高年男性の間でも精力増強への期待が根強い食材です。中国の古い薬学書『神農本草経』『本草綱目』にはスッポンの甲羅・肉・血・卵・胆のうなど全ての部位に効能があると記され、気力増強や腎肝を補う作用など万能薬のように扱われてきました。
また、スッポンは水や餌を与えずとも1年以上生きる生命力、さらに雄の陰茎が体長の4分の1にも達し交尾時に3時間離れないという生態から「絶倫の象徴」とされ、その強壮な力にあやかろうと食用にする文化が形成されました。
現代でも「スッポンを食べれば絶倫になる」といったイメージが残っています。しかし本記事では、その効果を科学的根拠にもとづいて検証し、実際に中高年男性の性機能にどのような影響があるのかを解説します。

スッポンは高タンパクでビタミン・ミネラルも豊富な食材です。特に精力との関連が語られる以下の成分が含まれています。それぞれの作用を科学的知見から見てみましょう。
スッポンの肉にはアルギニンなどアミノ酸が豊富です。L-アルギニンは体内で一酸化窒素(NO)の産生を促すアミノ酸で、血管拡張による血流改善をもたらします。男性の勃起は陰茎海綿体への十分な血流が不可欠であり、アルギニンは正常な勃起機能を支える重要な物質です。
実際、血管性ED患者にアルギニン6g/日を3ヶ月投与した臨床試験では、プラセボ群に比べ勃起機能スコア(IIEF-6)が有意に改善し、陰茎動脈血流も回復しました。特に軽度~中等度のEDで効果が顕著で、24%の患者がEDがないレベルまで機能改善したと報告されています。このように高用量アルギニン補給は軽度の勃起不全改善に一定の有効性が示されており、その作用メカニズムはNO増加による血管拡張・血流改善と考えられます。
スッポンには鉄や亜鉛など各種ミネラルも含まれます。亜鉛はテストステロンやプロラクチンなど性関連ホルモンの産生に必要であり、前立腺液の主成分生成にも関与します。亜鉛欠乏の男性は精巣の発達不全や精子数の減少が見られることも報告されており、適切な亜鉛摂取は生殖機能の維持に不可欠です。
動物実験では、亜鉛を適量投与したラットで射精潜時延長(性交持続時間の延長)や陰茎のスラスト運動増加といった性行動の改善が観察されています。またヒトでも、葉酸・亜鉛・生薬を組み合わせたサプリによる早漏改善例など、間接的に性的パフォーマンス向上への示唆もあります。これらから、スッポン由来の亜鉛摂取は不足時の性機能低下を補い、精子や性ホルモンの健全な産生を支える役割が期待できます。
スッポンの脂質は70%以上が不飽和脂肪酸で、その約20%がオメガ3系脂肪酸(EPAやDHA)です。オメガ3脂肪酸は血中脂質の改善や血管機能の保護をもたらすため心血管の健康に役立ち、勃起不全(ED)の原因である動脈硬化の進行を抑える効果が期待されます。事実、動脈硬化性EDモデルのラットにオメガ3を与えた研究では、陰茎勃起機能の有意な改善が確認されています。
さらにヒトを対象とした観察研究ですが、魚油サプリを常用する若年男性(約1,700人)は非使用者に比べて精巣体積が大きく、精液量・精子濃度が高い傾向が報告されました。加えて、この群では性腺刺激ホルモン(FSHやLH)の値が良好であり、生殖機能が全般に健全なプロファイルを示したのです。魚油摂取が直接の原因と断定はできないものの、EPA/DHAによる抗炎症・血流改善効果が男性の性機能やホルモン分泌をサポートする可能性があります。
スッポンから摂れるEPA/DHAも、このような勃起機能の維持や精巣機能の健全化に寄与する要素と言えるでしょう。
スッポンは特に甲羅(軟甲)や皮膚にコラーゲンが豊富で、美肌効果を期待して摂取する方もいるほどです。コラーゲンは身体の結合組織(皮膚・血管・骨・筋肉など)を構成する主要なタンパク質で、組織の弾力や強度を保つ上で不可欠です。陰茎の海綿体組織や血管壁にもコラーゲン線維が含まれ、適度な柔軟性が勃起時の膨張を支えます。
一部では「コラーゲン摂取が血管の健康や一酸化窒素(NO)産生を促し勃起力を高める」とも謳われますが、これは主にマーケティング上の表現であり直接的に性機能を高める科学的根拠は確認されていません。むしろ重要なのは、コラーゲン豊富なスッポンを食べることで体全体のタンパク質補給になる点です。加齢とともにタンパク質消化吸収力が落ちる中高年では、良質なたんぱく質(アミノ酸)を十分に摂ることがスタミナ維持に直結します。
スッポン由来のコラーゲンも、分解されアミノ酸として吸収されれば血管や筋肉組織の補修・維持に役立つでしょう。ただし繰り返しになりますが、コラーゲンそのものが直接リビドーや勃起力を増強するエビデンスはないため、過度な期待は禁物です。
以上のように、スッポンには性機能に関わる栄養素が数多く含まれています。では、実際にスッポンを摂取することで性機能そのものが向上するという科学的データは存在するのでしょうか?次章で、ヒト臨床試験や動物実験の知見を見てみましょう。

古くからの言い伝えだけでなく、実験的にもスッポンの強精効果を示すデータがあります。代表的なのは1989年に東京大学薬学部で行われたマウス実験です。この研究では、スッポンの肉をフリーズドライにして粉末化したものをマウスの餌に混ぜ、連日投与しました。
その結果、スッポン投与群のマウスは1日1時間の強制運動(ロープ登り)を10日連続で課しても疲労の蓄積が少なく、運動ペースの低下が見られませんでした。さらに、運動ストレスを与えた雄マウスを雌マウスと同室にして性行動を観察したところ、スッポンを与えた群は非投与群に比べて約3倍も活発に交尾行動を行ったと報告されています。この実験は、スッポン摂取が疲労回復を促し、ストレス下でも性欲・性活動を維持向上させる可能性を示したものと言えます。
また近年の研究として、2022年に発表されたマウス実験ではスッポン由来のペプチドを投与することで持久力の向上と疲労物質蓄積の軽減が確認されています。これは運動耐性を高める効果ですが、勃起不全と全身持久力・疲労の関係を踏まえると(全身の疲労蓄積や血行不良はEDの一因です)、スッポンの抗疲労効果が間接的に性機能を支える可能性も考えられます。一方で、ヒトを対象とした臨床研究は極めて限られているのが現状です。
2024年時点の文献を調査した限り、スッポン食品やサプリメントの摂取によって男性の勃起機能や性欲が有意に向上したと結論づけた信頼性の高い試験は見当たりません。疲労を取り除き、活力が戻れば、結果的に性欲も回復しうるものの、スッポン自体がバイアグラのように直接勃起を促すわけではない点に注意が必要です。

前述の通り、スッポンは中国や日本で何世紀にもわたり滋養強壮の妙薬として珍重されてきました。中国では皇帝や貴族が不老長寿や精力増進のために服用し、日本でも平安時代には貴族・武士階級で、江戸時代には庶民にも広がりを見せました。江戸期には「スッポンは薬より効く」といった俗信もあったようで、スッポン料理店で滋養をつける習慣が生まれています。
民間療法的には、スッポン生血を酒に混ぜて飲む「血酒」や、生肝を刺身で食べるといった風習も一部に見られ、中高年男性が精力増強を期待して摂取する例が現在まで伝わっています。また「月とスッポン」という慣用句が示すように、スッポンは身近な生物でもあり(日本では田んぼや川に棲息)、その強い生命力から咬みついたら離れない粘り強さなどの比喩にも使われてきました。
現代の栄養学・医学的にスッポンを見てみると、「強精作用」のイメージは一部は栄養豊富さに基づく合理性があります。
スッポンは高タンパクかつビタミンA・B群、鉄分などが豊富で、例えばカルシウム含有量は牛肉や豚肉の150倍、鉄やビタミンAも約3倍といった報告もあります。このため慢性的な栄養不足や疲労に対しては体力回復(いわゆる滋養強壮)効果が期待できます。滋養強壮とは本来「疲れを取り活力を養う」ことであり、更年期以降に不足しがちなビタミンB1や抗酸化物質(ビタミンEやオメガ3脂肪酸など)を補給できる点で、スッポンはたしかに優れた食品です。
疲労感の軽減や活力向上によって間接的に性欲や性機能が改善するケースはあるかもしれません。しかし、現代医学的な厳密さで言えば、「滋養強壮=精力増強」では必ずしもなく、スタミナがついたからといって性的機能そのものが向上するわけではないとされています。したがって、スッポンは栄養補給や健康維持に有益な強壮食ではあるものの、ED治療薬のような直接の効果を期待するのは誤解と言えるでしょう。
実際、日本性機能学会や泌尿器科専門医の見解でも、スッポンなどの強精食材は「プラセボ以上の効果は証明されていないが、栄養価が高いので食生活の一部として摂るのは良い」というスタンスが一般的です。

中高年男性の性機能低下に深く関与するホルモンとしてテストステロンがあります。テストステロン値は男性では20代をピークに加齢で減少し、特に40歳代以降で急落することが知られます。テストステロンの低下は筋力や骨密度の低下、意欲・気分の落ち込みとともに性欲減退や勃起力の低下を招く場合があります。
このため、更年期以降の性機能維持策として「如何にテストステロン分泌を維持・増加させるか」が重要視されます。ではスッポンは男性ホルモンに影響を与えるのでしょうか?結論から言えば、現時点でスッポン摂取によりテストステロン値が上昇したことを確認した研究は存在しません。
前述のようにスッポンには亜鉛や良質なたんぱく質が含まれ、間接的にホルモン分泌を支える可能性は考えられます(深刻な栄養不足でテストステロン低下が起きている場合、栄養状態改善で正常化することはありえます)。しかし、健常な中高年男性を対象にした試験でスッポンサプリ摂取群だけテストステロンが有意に上昇したというデータはありません。このようにスッポン=男性ホルモン増強という図式は科学的に裏付けがないため、過度な期待は禁物です。
もちろん、栄養豊富なスッポンを食べて体調が良くなれば結果的にホルモン状態も安定しうるでしょう。しかし、それは「ホルモン補充療法」のような直接効果とは異なり、あくまで間接的な健康効果の延長線上に位置付けるべきです。性ホルモン低下による症状(EDや性欲減退など)が顕著な場合、スッポンに頼るよりも専門医に相談して適切な治療や運動・生活習慣改善でホルモン分泌を促す方が確実と言えます。
まとめ
スッポンは伝統的に「精がつく」食材として珍重され、その評判は豊富な栄養素や動物としての生命力に由来するものでした。現代の科学的視点で振り返ると、アルギニン・亜鉛・オメガ3脂肪酸など中高年男性の性機能維持に役立つ成分を含む点でスッポンは優秀な滋養食です。動物実験ではスタミナ増強や性行動の活発化が示されていますし、日常的な栄養補給源としては理にかなっています。
しかし、「食べた途端に勃起力が蘇る」「男性ホルモンが急上昇する」といった直接的効果は科学的に裏付けがなく、過剰な期待は禁物です。中高年の性機能低下に対しては、適度な運動、十分な睡眠、ストレス管理など基本的な生活習慣の改善とともに、必要に応じて医療的介入(ホルモン補充やED治療薬)も検討すべきです。その上で、スッポン料理をたまに楽しんで栄養を補給し体力をつけることは、結果的に活力維持につながりポジティブな影響をもたらすでしょう。
大切なのはエビデンスに基づいた正しい知識を持ち、スッポンを健康管理の一助として上手に取り入れることです。伝統の知恵と現代医学の知見を バランス良く活用し、いつまでも活力みなぎる生活を送りましょう。
筆者:元神 賢太
青山セレスクリニック/船橋中央クリニック院長/医療法人社団セレス理事長。
1999年慶応義塾大学医学部卒。
外科専門医(日本外科学会認定)。
美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。
美容外科医師会理事。
美容外科医・包茎治療・ペニス治療として20年以上のキャリアがある。リパス、リパスGの命名者であり、日本の第一人者。テストステロンブースターサプリ「TB-1」の開発者。
男性向けの性講座Youtube「元神チャンネル」は好評を博している。また、男性更年期障害(LOH症候群)の改善をライフワークとしている。
ED・ED治療, 勃起不全, テストステロン, 精力, スッポン
ブログTOPに戻るカテゴリーから探す
人気記事ランキング
記事はありません。
最新記事

20年以上ペニス治療に従事して参りました私が施術からからアフターケアまで
一貫して行いますので、ご安心してください。
当院では元神賢太医師のみが、診療を行っております。
経験の浅いアルバイト医師が手術を行うことは絶対にありません。
「すべての方にご満足いただける医療を提供する」をポリシーに、長年患者様の診療を行っております。
こちらから治療を強要することはございませんので、安心してご相談ください。
東京エリアで治療をご希望の方はこちら

〒107-0061
東京都港区北青山2-7-26
ランドワーク青山ビル7F
(旧ヒューリック外苑前ビル)
責任者:高林洋一
最終学歴:S43年慶応義塾大学医学部卒業
勤務歴:H28年青山セレスクリニック管理者
千葉エリアで治療をご希望の方はこちら

〒273-0005
千葉県船橋市本町6-4-15
グラン大誠ビル 2F
責任者:元神賢太
最終学歴:H11年慶応義塾大学医学部卒業
勤務歴:H15年船橋中央クリニック開業
〒810-0001
福岡県福岡市中央区天神2丁目5−17 プラッツ天神 2階
(提携先 セイコメディカルビューティークリニック福岡院)
フリーダイヤル
)〒530-0001
大阪市北区梅田1-2-2 大阪駅前第2ビル2F
(提携先
)
フリーダイヤル
〒063-0812
札幌市西区琴似2条1丁目1-20 琴似タワープラザ2階
(提携先 琴似タワー皮膚科形成外科)
フリーダイヤル