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早漏の基準とは?

更新日:2025/06/04

公開日:2025/06/04

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早漏(そうろう)は多くの男性が抱える性の悩みですが、その明確な基準や定義は意外に知られていません。医学的に見ると、早漏は射精までの時間が本人の意思に反して極端に短い状態を指し、性交の開始直後や開始前に射精に至ってしまうものです。

本記事では、日本国内および国際的な早漏の定義・診断基準を詳しく解説し、早漏に悩む男性の割合や、これまで医療現場で軽視されてきた背景、早漏がクオリティ・オブ・ライフ(QOL)に与える影響について紹介します。また、自分でできる代表的な早漏対策や、医療機関で受けられる治療法(手術など)についても簡潔にまとめます。早漏に関する正しい知識を身につけ、適切な対策を考える参考にしてください。

日本における早漏の定義と診断基準

日本国旗

まず、日本国内における早漏の定義・診断基準を見てみましょう。実は日本には国内の学会が承認した早漏の明確な定義がありません。そのため、現場の医師は国際性機能学会(ISSM)の定義を早漏の基準に使用しています。ISSMによれば、早漏とは以下の条件を満たす場合に診断されます。

  • ほぼ毎回、膣挿入前または挿入後1分以内に射精してしまう。
  • 膣挿入後に射精を遅らせることが全く、あるいはほとんどできない。
  • 射精までの時間が短いことでストレスや欲求不満を感じ、パートナーとの関係悪化や性交の回避などネガティブな影響が生じている。

要するに、「どこからが早漏か?」という問いに対しては、「一般的には性交開始~1分程度で射精に至る場合」が一つの目安になると言えます。

さらに近年では、早漏を生涯早漏(原発性)と後天的早漏(続発性)に分類して考えることもあります。ISSMおよび世界保健機関(WHO)の定義では、原発性(生涯)早漏は「性活動を開始した初回から一貫して挿入1分以内に射精してしまう」ケース、後天性早漏は「以前は問題なかったのに、後になって射精までの潜時が有意に短縮し、おおよそ3分以下になってしまった」ケースとされています。国際的な診断基準では、このように「1分以内」や「約3分以内」といった具体的な時間指標が示されている点が特徴です。

「性交時にパートナーが満足できるか否か」という観点から早漏とみなされる場合もあります。たとえば、ある調査では女性が理想と感じる平均的な挿入時間は10分以上という結果もあり、これより大幅に短いと女性側から「早漏かもしれない」と思われてしまうこともあるようです。つまり、厳密な医学基準ではなく、パートナーの満足度が基準になる場合もあるということです。

国際的な早漏の基準

世界地図

国際的には、前述のISSM(国際性機能学会)の定義が広く知られています。ISSMは2007年以降、エビデンスに基づいた早漏の定義を検討し、2008年に次のような統一的コンセンサスを発表しました。

男性の性機能障害であり、性的活動時に毎回またはほぼ毎回、女性器への挿入後1分以内(あるいは挿入前)に射精してしまうこと。射精のコントロールができず、それによるストレス・悩み・イライラなど精神的負担が生じる、またはその結果として性交自体を避けてしまうこと。

この定義にあるように、「1分以内」という時間基準と「コントロール不能」「精神的苦痛」という要素が国際基準では重視されます。さらに2014年にはISSMがガイドラインを更新し、先述したように後天的早漏では「約3分以内」という基準も盛り込みました。

一方、WHO(世界保健機関)が定める国際疾病分類ICD-11でも早漏(早発射精)は「膣内挿入の極めて短時間で射精に至ってしまう状態」と定義され、ISSMと同様の考え方が反映されています。ICD-11では早漏をサブタイプ別に3種類に分類している点が特徴で、DSM-5(米国精神医学会の診断基準)より詳細に早漏のタイプ分けを行っています。

例えば、ICD-11では主観的早漏(本人やカップルが主観的に早すぎると感じる場合)といったカテゴリーも含まれており、DSM-5より柔軟な基準になっています。ただしDSM-5では依然として「挿入後おおむね1分以内」という基準を早漏全般に適用しており、後天性の場合も1分基準なので不十分だという指摘があります。

まとめると、国際的基準では「1分以内」「3分以内」といった時間指標+射精コントロール困難+精神的苦痛が重要視されます。一方日本国内では明文化された基準はないものの、医療現場ではこれら国際基準に沿って診断が行われているのが現状です。

参照元:

An evidence-based definition of lifelong premature ejaculation: report of the International Society for Sexual Medicine Ad Hoc Committee for the Definition of Premature Ejaculation

Premature ejaculation: an update on definition and pathophysiology

早漏に悩む男性の割合(日本国内と海外)

では、どれくらいの男性が早漏に悩んでいるのでしょうか。日本国内の最新の大規模調査によれば、20歳以上の男性の23.4%が「自分は早漏で悩んでいる」と回答しています。この割合を日本の男性人口に当てはめると、約910万人もの男性が早漏の悩みを抱えている計算になります。特に20~39歳の若年層では悩んでいる人が30%前後と高く、加齢とともにその割合はやや減少する傾向が報告されています。

ただし、「悩んでいる」と感じている人が多い一方で、厳密な医学基準(例えば「毎回1分以内に射精してしまう」)に当てはまる重度の早漏となると割合は低くなります。先の調査でも、「挿入前~1分未満で射精してしまう」人は全体の5.1%であったとの結果が出ています。このように、日本では約5%程度の男性が医学的に見て明らかな早漏状態にあり、約4人に1人は程度の差はあれ早漏の悩みを抱えていると考えられます。

海外の調査でも、早漏の有病率には幅があります。国際的な複数の研究を総合すると、男性の約20~30%が「自分は射精が早すぎる」という悩みを持ったことがあると報告されています。

参照元:25年ぶりの全国調査で日本人男性の性機能が明らかに

医学的に早漏が軽視されてきた背景

早漏は男性にとって重大な悩みになり得ますが、医学界では長らく軽視されてきた歴史があります。その背景には、早漏が男性の生殖能力(妊孕性)に直接影響を与えないという考え方が一因として挙げられます。

つまり、「たとえ早く射精しても子供は作れるので、健康上の深刻な問題ではない」と見なされ、勃起不全(ED)など他の性機能障害に比べ研究や治療の優先度が低かったのです。実際、早漏に関する大規模な疫学調査は日本でも25年間行われておらず、ようやく2023年に全国調査が実施されたという現状があります。これは裏を返せば、過去数十年にわたり早漏が専門家から十分な関心を払われてこなかったことを示しています。

また、標準的な早漏の定義や診断基準が長らく確立していなかったことも研究の遅れにつながりました。ISSMが統一的な基準を提唱するまでは各研究で定義がバラバラで、報告される有病率も3%から30%以上まで大きく食い違っていたのです。定義が統一されていないと有効な治療法の研究も進みにくく、結果として「明確な治療法がない=重要視されない」という悪循環に陥っていました。

早漏治療薬ダポキセチン

早漏治療薬ダポキセチン

日本国内に目を向けると、早漏治療の専用の治療薬が未だに承認されていない点も軽視の表れと言えます。世界では50か国以上で早漏治療薬ダポキセチン(後述のSSRI系薬剤)が認可され第一選択薬として使われていますが、日本では製薬会社が承認申請を行わず、未承認のままです。その背景には「日本人はセックスの頻度が低く市場規模が小さいため」との見方もあります。

つまり需要が少ないと判断され、製薬企業も積極的に開発・申請を行わなかったということです。こうした状況も、早漏が医療的に重要視されてこなかった一因でしょう。

参照元:The epidemiology of premature ejaculation

QOLへの影響と精神的ストレス(近年の研究や患者の声)

近年は早漏による男性のQOL(生活の質)への悪影響が改めて注目されています。早漏そのものは生命に関わる疾患ではありませんが、本人の精神的ストレスやパートナーとの関係悪化など無視できない問題を引き起こします

国際的な研究でも、早漏の男性は不安感、抑うつ(うつ)傾向、自己評価の低下や性的自信の喪失など様々な心理的悪影響を被りやすいことが報告されています。実際、早漏のためにセックスそのものを避けてしまう、あるいはパートナーとの親密な関係を築けなくなるケースもあります。あるレビュー研究では、観察された全ての調査で早漏が男性およびパートナーの生活の質を有意に低下させ、対人関係に悪影響を及ぼすとの結論に至っています。

日本の全国調査においても、早漏で悩んでいる男性は日常生活の満足度が下がり、しかしながら治療経験のある人は非常に少ないことが指摘されました。約910万人の悩める男性の多くが、「恥ずかしい」「相談しづらい」といった理由で放置していると考えられます。

その結果、人知れずQOLを下げている要因になっているとの分析もあります。患者の声としても、「パートナーに申し訳なく感じる」「性行為が怖くなった」「自信を喪失した」といった切実な悩みが報告されています。またパートナー側も不満や不安を抱えやすく、二人の関係性に深刻な溝が生じる場合もあるのです。

こうした状況を受け、泌尿器科学会においても「早漏は決して些細な問題ではなく、男性の精神的健康やカップルの関係性に大きく影響する」ことを強調しています。早漏で悩んでいる場合は一人で抱え込まず、専門医に相談して適切な対処を取ることが重要です。それが結果的に本人の人生の質だけでなく、パートナーとの良好な関係維持にもつながります。

参照元:Impact of premature ejaculation: the psychological, quality of life, and sexual relationship consequences

自力でできる早漏対策・改善法

早漏に対しては、自分で試せるトレーニングや工夫もいくつか存在します。代表的な自力でできる早漏対策を紹介します。

マスターベーション法(ストップ&スタート法)

オーガズムに達しそうになったら刺激を一旦ストップし、30秒ほど経って落ち着いてから再開することを繰り返します。この練習を繰り返すことで「射精しそうな感覚」を掴み、持続時間を延ばす訓練になります。

圧迫法(スクイーズ法)

マスターベーション法の一種ですが、こちらは射精感を覚えたら亀頭の真下を手で強く圧迫する方法です。

リラックス法

性交中に高まりすぎた興奮を落ち着かせるために深呼吸やペーシング(動作をゆっくりにする)を取り入れる、射精しそうな際に一旦体位を変えるなどして気分転換するといった方法です。

コンドームの利用

コンドーム(特に厚手のタイプ)は物理的に刺激を和らげるため、早漏対策として有効です。

事前のマスターベーション

本番の性交前に一度マスターベーションで射精を済ませておく方法も古くから知られる対策です。事前に放出しておくことで2回目の射精までの時間を長引かせる効果が期待できます。

医療機関での早漏治療

早漏は専門のクリニックや泌尿器科で治療することも可能です。ここでは代表的な医療機関での治療法を紹介します。

包茎手術

仮性包茎イラスト

早漏治療の外科的な治療方法として包茎手術が有効です。早漏の人は、内板と呼ばれる亀頭の真下の包皮が薄く、鋭敏すぎる傾向があります。包茎手術でこの敏感過ぎる皮膚を切除することで早漏を治す方法となります。

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小帯切除術(陰茎小帯の切離)

小帯切除術のイラスト

陰茎亀頭の裏側にある亀頭小帯(通称:裏スジ)が通常より短い場合は短小小帯と呼ばれますが、短小小帯のかたは、早漏の傾向があります。この小帯を切除することで、早漏を克服する方法となります。

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亀頭強化治療(亀頭増大術)

亀頭増大

亀頭へのリパスGやヒアルロン酸などの充填剤注入をすることで早漏を治す方法です。同時に亀頭も大きくなります。亀頭増大術による早漏治療の研究がいくつか報告されており、一定の有効性と安全性を示すデータも出ています。

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薬物療法(内服薬による治療)

プリリジー

国際ガイドラインでも認められている薬による治療です。具体的には、脳内のセロトニン神経の働きを高める抗うつ薬(SSRI)であるダポキセチン(商品名プリリジーなど)が射精遅延効果を持つため用いられます。しかし、ED(勃起不全)の副作用も起こり得ます。

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まとめ

早漏の基準について、国内外の定義から治療まで専門的に解説してきました。まとめると「膣内1分以内」が一つの目安ではありますが、それ以上でも本人やパートナーが不満を感じるなら早漏と捉えて良いでしょう。

そして早漏は決して恥ずかしいことでも特殊なことでもなく、多くの男性が直面し得る治療可能な症状です。放置すれば精神的ストレスや人間関係の悪化を招きますが、適切な対策・治療によって十分改善できます。

もし早漏でお悩みなら、本記事の内容を参考にぜひ行動を起こしてみてください。セルフ対策から始め、必要なら専門医療機関での相談・治療を受けることで、充実した性生活と自信を取り戻せるはずです。

 

筆者:元神 賢太
青山セレスクリニック/船橋中央クリニック院長/医療法人社団セレス理事長。
1999年慶応義塾大学医学部卒。
外科専門医(日本外科学会認定)。
美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。
美容外科医師会理事。
美容外科医・包茎治療・ペニス治療として20年以上のキャリアがある。リパス、リパスGの命名者であり、日本の第一人者。
男性向けの性講座Youtube「元神チャンネル」は好評を博している。また、男性更年期障害(LOH症候群)の改善をライフワークとしている。

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